ネドは洞窟があるとみられている地域の調査をすることとなっていた。
小型船へ乗船すると、おや、あの新人が僕と同じ班になったらしく、乗船している。
ネドは興味がわいて、彼に近寄り、みんなと同じように小型船後方のベンチに腰を掛けた。
「やあ、ドルー、えーっと」
「伍長です」
「ドルー伍長、だったね。僕はネドだ」
「ネド中尉ですね」
「そう、コントロールルームにいたのを覚えていてくれたのかな?」
「ええ」
「ちょっと話していいかな」
「どうぞ」
小型船の中は、実際の着陸に関わる仕事を割り振られていないものは、改装されて後方に設置されたベンチに固まって座って、小型船が目標地点に着陸するまで、じっと待っているだけだ。
「伍長なのか?」
「いいほうですよ、僕は士官学校をでていませんから。一番下にならなかったのが不思議なくらいです」
「なるほど。でも、ドルー伍長、こう言っては何だけど、もったいないと僕は思ってしまうなあ」
「僕の学歴のことですね」
「そう」
「二つも大学を出て、大学院で研究生活をしていたのに、なぜ宇宙連邦軍なのか? ですか?」
「ああ、そう。みんなに聞かれるでしょ」
「ええ」
「話したくなければいいけど」
ふふ、と小さく笑って、ドルー伍長は、一回外した目をネドに、戻して
「別に秘密じゃないから、いいですよ」
と話し出した。
「実は、僕は、ここ、デルタ星の出身なんですよ。ここの調査に加わりたかったんです」
「えっ、な、なるほど。そうなんだ」
「ということは、ここにご家族がいらっしゃるの?」
「いえ、そういうわけではないのですが、んー、僕はここの保護施設にいたことがあるんですよ」
「ヘー、まっ、いろんな事情があるんだね」
ここで、
「諸君、静粛に。まもなく着陸する。着陸姿勢をとってくれ」