と、こちらも笑顔でミュール語で挨拶をした。握手はせずに、会釈だけを返す。
キャプテン、キースもルコの隣に進み出て、続けて、
「ケネス星宇宙軍宇宙艦ギガのキャプテンをしておりますキースと申します。こちらへ訪問できましたことを嬉しく思います」
と彼もまたミュール語で言って、彼も握手はせず、会釈だけを返した。
「お迎えできてうれしく思います」
ミュール星のザドは、キースに対しても、肘を張って両手を上げて会釈をした。そして、周りの星人たちと身振りで、待たせてあった車のような乗り物2台に、分かれて乗るように案内をした。
その乗り物の周りには、大型の乗り物が6台止まっている。
数人づつの兵士が防護服を着て、武装して外にでて、立ってこちらを見ている。
これは上から確認していた通りである。
初めてみる宇宙人に近づき、初めての乗り物にその宇宙人とともに乗る。緊張で、ネドの心臓はバクバク音を立てていた。乗り物が走り出すと、6台の大型車両は、さっと兵士を収容して、我々の2台の乗り物を囲んで走り出した。
しばらく走って建物群の間を通って、奥まで行き、右に曲がって、一番大きな建物の前で乗り物は止まった。
正面玄関では、やはり防護服を着て武装した兵士が左右に十人ほど並んで立っていた。その兵士たちの中央に、やはり防護服を着た人物が、脇に秘書官であろうか、人物を従えて立っていた。
我々が乗り物を下りると、先ほどの副官ザドが、中央の人物、この星の代表であるモルに、副長官ルコとキャプテンキースを紹介した。
挨拶が終わると、モルは先ほどのザドと同じようなポーズをし、ケネス側の二人は、会釈を返した。
モルは我々を案内して、建物の2階の大きな会議室のような部屋へ導いた。中には、白い防護服を着た4人の人物が、立って我々を待っていた。大きな長方形のテーブルがあり、その周りに、ミュール側も我々も席に着いた。
時間である。
ザドが、我々にミュール側の人物を紹介した。こちらはキースが、ミュール語でケネス側のメンバーを紹介した。その後、商務省のルコが主な交渉役となって、会議は進んでいった。
ケネス側は、決して急ぐことはせず、ゆっくり自星の様子を盛り込んだ映像を壁に移し、貿易の盛んな星として、ケネス星を紹介していった。そして、ケネス側から貿易の目玉として持参したサンプルを出して、商品説明を行っていった。