何者だろう?ネドが危険に晒されている。
「キャプテン、キース。状況は分かった。ドクター、ネプスが分析したいと言っているのもわかった。でも、僕はネドにFコードを張ろうと思う」
「わかりました。サライ最高司令官」
「弱いコードで張るようにするから、ネプスの分析を急がせてくれないか」
「了解しました。彼に伝えます」
「それから、少しでもわかったことがあったら、僕に報告してくれないか」
「了解です」
誰がどういう意図でネドに精神波を送っているのか。サライは、謎の究明よりネドを守ることが最優先だと考えた。
ネドに弱いFコード(精神波妨害シールド)が張られた。
Fコードを張るということは、もし精神波を送ってきている相手が、このこと(ブロックされていること)に気が付くことになれば、精神波を送ることを止める可能性が出てくる。
相手が突き止められないうちに精神波が止んでしまっては、相手が永久にわからないで終わってしまう可能性がある。だが、サライには選択の余地はなかった。
そして、サライは出発時刻を早めた。この日の朝、ケネス宇宙軍宇宙艦ミッドは、会議出席者を乗せてケネス星を出発した。
ドクター、ネプスは、ケネス宇宙艦ギガにいる。テラにいるネドとは近い位置にいる。機械を操作し、この精神波センサーの範囲を拡大して、精神波の波の分析を行った。
ミッドに乗船した直後、サライは戦闘態勢Bコードを指示した。
これから、何が起きるかわからない。
多くの人間がこの状況を知っていた方がよいだろう。
総統も、ケネス宇宙軍本部で状況を把握することになる。
渋い顔でミッドのキャプテン席の隣の補助イスに座っていたサライ最高司令官に、コントロールルームの士官が声をかけた。
「サライ最高司令官、ちょっとよろしいでしょうか?」
「なんだね。どうぞ」
「ネド中尉にFコードを張ったということですが、僕らが分析に加われば、早く発信源が特定できると思うのですが」
「・・続けてくれ」
「弱いFコードとはいえ、来た精神波を跳ね返すのですから、来た波と跳ね返った波を分析すれば、発信源の位置の特定が早くできると思うのですが」
「それは弱い波でも可能なのか?」
「はい。ネド中尉のいるテラを囲むように、僕らケネス宇宙軍の船のセンサーを重ねて張ることが出きれば可能だと思います」
「わかった。ありがとう。えっと」
「ユメルです。ユメル大尉です」
「ありがとう。ユメル大尉。さっそく始めよう」