やがて、上役らしい人間が現れた。うさんくさそうに我々を見ている。
身をかがめて、ネドは同じ言葉を口にした。
門の外で、武器を持っていないか調べられ、それから門の中へ入ることが許された。
衛兵に囲まれ、荷物は衛兵に取り上げられた。
衛兵に囲まれたまま城の中へ入ると、中も石の白壁である。外はかなりな暑さだったが、ここの空気はひんやりとしている。
我々一行が歩くと、こつこつと足音が城の中に響いた。
入った広間は大きく、磨かれた石の床が、つややかに光っていた。
脇の部屋から、大臣クラスであろうか、立派な身なりの男が現れた。
四人は丁寧にお辞儀をしたが、
バン
いきなり脇の衛兵に棒でたたかれ、倒された。
四つん這いにさせられ、棒で背中を抑えられる。
「顔をあげよ。商人とやら」
「・・・」
「遠い国クワンから、王様への贈り物を持ってきたとな。見せよ」
副長の合図で、地球人の中尉が、贈り物の入った布袋を持っている衛兵へ手を伸ばしたが、そこで、バンと手を叩かれた。
「よい。そこで出してみよ」
衛兵が布袋を逆さにすると、みごとな金細工が、がしゃがしゃ音を立てて現れた。この星の近くの宇宙連邦軍の宇宙ステーションで、この任務のために宇宙連邦本部で用意された金細工を、受け取ってきたのである。小ぶりだが見栄えはする。
金が光ってまぶしい。
「金(きん)か」
大臣らしい人物は、近寄ってきて見ていたが、
「金細工か。みごとな物のようじゃのう」
我々に顔を向けて言った。
「恐れ入ります」
ネドの通訳に応えて副長が顔を上げてそう言った途端、バン、脇の衛兵が副長の背中を打ち据えた。
「直接口をきくな」
その衛兵は声を上げた。
「よい、許す。口をきいてよいぞ。そなたたちはクワン王の命で来たとのことだが、贈り物を持参するとは、何か目的があるのであろう。申せ」
「申し上げます。私共はクワンの商人でございます。クワン王の命でヌコを買い付けに参りました」