上陸班の疲労は限界であった為、バラン副長はテラのキャプテン、ファウルに連絡を取って、小型船をテラにすぐに収容してもらえないかと願い出た。
やがて、許可が出た。
よかった!
宇宙連邦軍宇宙艦テラに収容され、キャプテン、ファウルに報告を終えて、上陸班は休暇を取ることを許された。
安堵はしたものの、ネドの頭は、今度は別の心配で満たされた。
タリだ。
部屋に戻るとすぐに、ネドは左前腕を触って、ケネスのコンピューターを呼び出し、タリの現在位置を確認した。
そして、すぐにその近くに転送するようにコンピューターに命じた。
人のいない場所に転送され、実態化すると、そこは、ネド達が最初に訪れたタパという町の大きな市場の近くであった。
すぐに、タリが見つかった。
あっ、タリだ。タリが二人の男に挟まれて、市場に向かって歩いていく。
よく見ると彼女の手が縛られている。
ネドはすぐに三人を追いかけた。そして、
「ちょっと、待ってくれ、タリ。タリ。ちょっと、待ってくれ」
と大声をだした。
ネドの声に反応して、三人は振り向いた。
「なんだ」
背の低いでっぷりとした男の方が、むっとした顔でネドを睨んで言った。
「ネド」
「タリ」
「僕はタリの知り合いだ」
「奴隷の知り合いだと?小僧」
「僕はネド、小僧ではない」
「ケンカを売っているのか」
「いや、話がしたいだけだ」
「こちとら、見ての通り忙しいんだよ」
背の高い男が、ネドを遮ろうと、ネドの前に出た。
「奴隷を売りに行くところだ。失せろ、あっちへ行け」
「売りに行く?」
「忙しいんだ、あっちへ行け」
「なら、僕が買う」
「うるせい」
「本当だ、金ならある」
「ばか、奴隷は高いんだよ」
「わかった、では取引させてくれ。君たちの売値はいくらだ。言ってくれ、用意する」