「よ、ケネス星人」
「ほお、ケネス星人か」
「仲良くしようぜ、ケネス星人」
「・・・」
「気取り屋のケネス星人」
「おもしろくない星人だよなあ」
「ほら、飲めよ」
トン
持ってきたグラスをネドの前に置いた。ネドが戸惑っていると、
「おい、ハボス星人とは飲めないということか?」
複数のハボス星人の目が自分に向けられていた。ネドは意を決すると、グラスを置いたハボス星人に、
「いただこう。君はテトラムでいいかな?」
と聞いてから、心配そうな顔をしているバーテンダー(ケネスの人間型ロボット)に
「テトラム一つ」
と穏やかに言って、カウンターの器械に左手首の宇宙連邦軍の認証カードをかざした。テトラムのグラスをハボス星人に勧めると、ネドはハボス星人が持ってきたグラスを周りのハボス星人に掲げて、振り返って後方の席にいるハボス星人たちにも掲げて、ニッコリとほほ笑んだ。そして、
「ハボス星とケネス星の未来に」
と言って、一気に飲み干した。
「おお」
「おお」
ハボス星人達の間にどよめきが上がる。テトラムをおごられたハボス星人も一気に飲み干したが、口の端に笑みを浮かべている。そのどよめきが治まったところで、ネドは、
「悪いけど、僕らは今帰ろうとしていたところなんだ」
彼らに目を向けながら言った。隣のミランも、
「ああ、そうなんだ。僕らはもう十分に飲んだからね」
と告げて、二人で立ち上があり、上着を手にしてから、
「ではハボス星人諸君、ごゆっくり」
「楽しい夜を」
と二人で言って店を出た。早く出るに越したことは無い。ネドはホテルに帰るミランと別れ、一人ゲートへ向かった。
しかし、まもなく、ネドは気分の悪さに立ち止まった。胃が熱くなって、全身の血がざわめいている。なんだ?まずいな!ネドはすぐ脇のレストランに入った。
「すまない」
と言って、ネドはカウンターに突っ伏し、気を失った。