他の実体化したギガの乗員たちは、ネドとマシアスの周りを囲んで、銃を構え上空を見ながら警戒している。
ネドも上空を確認すると、近くのオアシスからこちらに向かって、黒い塊が複数飛んでくるのが見える。
いや、よく見ると、ほうぼうのオアシスから黒い塊がこちらに向かって飛んで来ているではないか。
シリス副長は、ネドが宇宙連邦軍の銃を構えているのを見て、
「ネド、ケネスの銃に替えなさい」
と声をかけた。
ネドは左前腕を触って、ケネス宇宙軍の銃を転送させ、宇宙連邦軍の銃はテラの小型船へ戻した。
ケネスの銃は、相手を麻痺させる為のものである。
黒い塊は数を増して黒い帯のようになってここに近づいてきている。
盆地の平らな土の上に、さえぎるもののない状態で立っている我々は恰好の餌である。
やがて黒い帯は、ネドたちの上空で旋回しはじめた。
「患者と私にシールドD」
ドクアー、マシアスが左前腕を触ってケネス本部のコンピューターに命じた。
「作動中」
命じた瞬間に、コンピューターの音声が帰ってきた。
ギガのコントロールルームがすでに上陸部隊全員に防護シールドDを張るようにコンピューターに命じていたのだ。
一匹が降下してきた。と思った途端、すぐに黒い塊が次々と、ビュッ、ビュッと風を切る音を立てながら急降下して襲ってきた。
シュ
シュ
シュ
シュ
ブオン(ラグーがシールドで守られながら、地面に激突する音)
ブオン
ブオン
ギガの乗員はさすがに訓練を積んでいる。すごいスピードで急降下してくるラグーを狙いを外さずに、的確に撃ち落としている。
シュ
シュ
ブオン
ネドも何匹かに向けて銃を発射したが、狙いがはずれて、ラグーの羽に当たったり、逸れたりしている。