ネドはケネス艦の乗務員宿舎の自室に入るなり、服を着たままベッドに横になった。
自分に、人生の転換期が迫ってきているのを感じていた。
宇宙連邦軍を辞める。ケネス星に戻る。
ケネスでの自分の生活を考えてみる。
ケネス宇宙軍に勤務する。
おじいさんとあえる機会は増える。少しづつ、おじいさんが何を考えどう役割を果たしているのか、身近で見ていった方がいいのかなあ。
そして、・・そして、僕は伴侶を得てやがて子供が生まれ、ケネス星は大騒ぎとなるだろう。
その伴侶はサリトなのだろうか。・・それはわからない。
サリトは僕のことをどう思っているのだろう。
人と人は付き合ってみなければわからない。
付き合ってみないと、結婚して良い相手かどうかわからない。
結婚は長い共同生活だし、それに愛し合ってともに人生を歩んでいきたい。
これは、どの人間も同じだろう。幸せになりたい。幸せにともに歩んでいきたい。
だが、人間は繊細な生き物だから、うまくいかないこともある。
ケネスの教育プログラムでは、恋愛で相手に深い傷を与えないために、さまざまな警鐘を鳴らしていた。
男と女の感じ方の違いから始まって、性に対する考え方まで、かつてのケネス星人で、深く傷ついた人々の体験が、実話、実例として、そのまま載っていた。
同じ思いをする人を出さないために。
性に対しては、深く深く人を傷つけ、一生消えないほどの心の傷を負わせてしまうことがあると教えていた。特に女性については、一生を変えてしまうことになりかねない。悲しむ人間を出さないように、教育プログラムの中でも、大事なこととして理解させるように大きくページがさかれていた。
僕はサリトに、そんな思いはさせない。させるつもりはないけれど。
そんな事を考えながら、やがてネドは深い眠りについた。