衛兵が、ざざっとヌコをテーブルに開ける音が広間に響いた。
やがて、
トントン
衛兵が、棒を床に打ち鳴らして、王様のおなりの合図をした。
複数の人間が入ってきた足音がする。
「帰ったとな。早かったのう」
「・・・」
「これは!これはすごい量だのう。・・そちはケガもしておらぬのか?・・よい、顔を上げよ」
王様の顔を見て、ネドの心に不安が芽生えた。
自分の身体を傷つけておくべきだったか。
「その方は、その方らの武器はわがパラスの武器と変わらぬと申しておったが、本当にそうなのか?」
「・・・・同じにございます」
「ふーん、それでは、そちは非常に運が良かったことになる」
まずい。
ネドは動揺を隠して、こう言った。
「はい、私は誠に運が良かったのです」
王様はそばの大臣らしい男と何やら小声で話していたが、やがて、そばの壁に立っている衛兵に、仲間を連れてくるようにと命じた。
上陸班の副長以下三人が衛兵に囲まれて、謁見の間に入ってきた。
腕に鉄輪をはめられている。
王様の合図で鉄輪を外された副長の視線をみて、ネドの安堵感は後悔の念に変わった。
副長バラン中佐の目は、テーブルの上に広げられた、たくさんのヌコに注がれていた。
副長は、さっと視線を外し、他の乗員と一緒に、王様の前に四つん這いになった。
「バランと申したかの、そちは」
ネドが通訳をする。
「は、バランでございます」
「そちは、クワンの武器はこのパラスと同じだと世に申した」
「は、さようでございます」
「このものは、一人で、これだけの量のヌコを持って帰ってきた」
「・・・」
「大したケガもせず。そう、ラグーに食われもせずにな」
「・・」
通訳しているネドは青くなっていた。
「そち共には、望み通りヌコを売ってやろう」
「ありがとうございます」
「しかし、この者は、このパラスへ置いて行け」
「は?・・・いえ、・・・しかし」