ヌコでいっぱいの布袋はさすがに重く、小山のふもとでネドは息が上がってしまった。
「ネド、待って。上と連絡を取るから」
ルワはどこかと上を見ると、中腹に佇んでいる。
マシアスに背中を向けて、ネドは小山を登り始めたが、いきなりキラキラする光に囲まれた。
気が付くと、ケネス宇宙軍の小型船の中である。(小型船が透明スクリーンで覆われているのは言うまでもない。もちろん、ギガ自体も透明スクリーンをかけて任務にあたっている))
「ありがとう、諸君」
同時に実体化したマシアスの声が響く。ネドも、
「ありがとう」
と反応しながら、小型船の窓をよく見ると、ちょうど盆地の周りの小山の上を通過するところであった。
ネドは、
「あの、悪いけど、僕らのルワを拾ってくれないか?それから、大岩のところへ行ってくれないか?」
と運転操作をしている乗員に頼んだ。
すると、
「いいですが、ルワはすぐに拾えますが、大岩の所にいた女性でしたら、もう、大岩の所にはいませんよ」
と乗員は応えて言った。
「いないって!タリはどこへいったんだ?」
「あの女性は、お二人が出発してまもなく、隣の国キッタリア方向へ走って行きましたよ」
「今はそうですねえ、キッタリアとの境の山の近くだと思いますが」
ええ?ネドは乗員の前で、絶句した。
タリの無事を確認したいが、任務がある。
「悪いけれど、僕とルワを、もう少しパラスの町よりに行った所で、下してくれないか?うーん、えー、ここら辺でいい。ありがとう」
ネドは言った。
ネドはルワに乗ってパラスの町の門を目指したが、余り早いと怪しまれる。ネドは町の門が近づくと、自分の服をナイフで切り裂き、土埃で汚した。そして、ケネスの銃を転送で戻し、時間をかけて城へ戻った。
テラのナイフは、城の近くの小藪へ戻したのは言うまでもない。そして、ネドはナイフを戻すとき、ふと気が付いて、テラの小型船から再びテラの銃を転送させ、ナイフの脇に埋めたのだった。
さて、ヌコはかなりな量である。これでなんとかなる。
衛兵に囲まれて王の謁見の間に入ると、棒でたたかれる前にネドは四つん這いになった。
ヌコの入った布袋はすでに取り上げられている。