宇宙連邦軍第9宇宙ステーションとの、着艦の通常のやり取りが行われ、通常通りテラの着艦が完了した。
キャプテン、ファウルの下船の許可の合図とともに、乗員が席を立っていく。
今回のこの宇宙ステーションへの滞在は短く、4日間である。
この空域の近くの星を母星としている乗員はテラにはいない。空間に置かれているだけで、惑星を旋回している宇宙ステーションでもなく、またそれほど規模も大きくないため、滞在は短くなっていた。
乗員の宿舎はもちろん、自室である。
明日サリトと会う。
ネドは自室に戻ると、すぐに左前腕のケネスの器械を右手で触れて、
「ギガの格納庫へ」
と小声で言った。
そう言った途端、しまった、と思った。
が、もう遅い。
自分の周りは転送特有の眩しい光の粒に包まれて、すぐにギガの格納庫内が光の粒越しに透けて見えはじめた。
格納庫に直接転送で入ることは、ケネス宇宙軍ではありえない。マニュアルに反している。
僕がこんなことをしてしまうとは。
その時、一度薄まりかけた光の粒が、再度濃くなったと思ったら、目の前にギガのコントロールルームが透けて見えた。
ネドはギガのコントロールルームの後方に実体化した。
転送には体にダメージが伴う。マニュアルに反する行動と、Qコードのはざまで、Qコードが優先された。
コントロールルーム内は、Qコードで避難者が艦内で実体化したことを告げるオレンジ色の光の点滅に染められいた。