第7章 (宇宙連邦加盟星総会)
ネドは、地球近くの、ある大型宇宙ステーションに来ていた。
年1回、地球近くの大型宇宙ステーションで持ち回りで行われる、宇宙連邦加盟のすべての惑星の最高指導者が集まる宇宙連邦総会に、宇宙連邦軍の若手士官とともに手伝いのため、派遣されていたのである。
宇宙連邦軍宇宙艦テラは、手伝いに召集された士官たちの宿舎も兼ねていたため、この宇宙ステーションに着艦していた。
しかし、それ以外の通常の船の停泊は、前もって禁止され、この宇宙ステーション内のたくさんの店もすべて閉じて、ステーション内は静まり返っていた。
そして、この宇宙ステーションの周りは、宇宙連邦軍の大型艦が、旋回して警備にあたっていた。
ネドは、本日の夜に行われる総会前の懇親会の手伝いのため、閑散とした宇宙ステーション内を会場となるレセプションルームに向かっていた。
会場の入り口に来てみると、中はもう掃除は終わったらしく、テーブルとイスはすでに設置されていた。
60テーブル位に分かれて丸く設置されている。
宇宙連邦加盟星数が全部で今、66だから出席率はよい方だろう。
会場内の端には机が置かれていて、今、係員が次々と高価そうな飲み物のケースやグラスやおぼん等をこの机の付近に運び入れているところであった。
その中で手伝いの士官と思われる軍服姿の男が数人、ネドと同じように手持無沙汰そうに、ただ立っている。
正午の集合である。時間はまだ早い。しかし、ネドも同じだが、行くところがない。
ネドはなんとなく会場内を見回していた。
そこへ、突然、ネドの頭に冷たい思考が入ってきた。
ビクッとして、この思考の持ち主を探そうと、会場内をグルリと見回してみたが、これだけ人が出入りしていると見分けがつかない。
神経を集中してみたが、もう、その人物がすでにこの場を離れたのか、別のことに思考を切り替えたのか、その思考が感じられなくなってしまった。
やがて制服姿のリーダーらしい士官と数人の士官達が会場に入ってきた。
いよいよ始まる。
リーダーらしい人物は、手伝いを命じられた士官たちに集合をかけた。
説明が始まった。
僕らは総会の前夜祭では、お偉方の案内役だ。
ネドは説明を聞きながら、周りを行きかう会場の人々が気になって仕方がなかった。
さっきの思考は何なんだったんだ。
殺人を起こしかねないほどの、憎しみを感じたのだ。