「ええ。勿論、これは僕の推理でしかありませんが、あの機械は、僕らケネス星人の遺伝子にしか反応しないのですから」
「なるほどな」
「お話中ですが、最高司令官。ハボス艦がもう間もなくこのテラの脇に着きます」
医療パネルの緊急通信網から流れている画面を見た秘書官が、声を上げた。
「ありがとう、プロー秘書官」
「ドクター、ネプス。君は先ほど、ネドに送られてくる精神波を自分で受けてみたいと言っていたね。だが、その実験がどのぐらい時間がかかるのかは僕はわからないが、僕に時間を切らせてもらえないか?僕は、そうだな、後30分で、あの機械を惑星Zの宇宙基地に転送しようと思う」
「わかりました。最高司令官」
ドクター、ネプスは立ち上がった。
サライは、左前腕を触ると、
「転送士官諸君、よろしく頼む」
と、声を上げた。
サライは、ハボス艦がテラの脇に到着し、テラのコントロールルームのやり取りの後、ハボスの小型船にハボスの幹部が乗って、このテラに着艦するまでの間に、機械を転送してしまおうと思ったのだった。
「すいません、最高司令官」
サライがソファから顔を上げると、今、ドクター、ネプスは、おそらく自分の家から転送してきたのだろう、見慣れない機械をいじろうとしていた。
彼は顔だけこちらに向けた。
「なんだね」
「時間がありませんし、集中したいので、できれば、このテラのゲストルームにご自身で行っていただけませんか」
「わかった」
「このフロアですし、この時間ですと、通路を通る乗務員はいないはずです」
「よし、わかった」
サライら3人は、ケネスのコンピューターの力を借りて左前腕の赤い光に導かれて、テラのゲストルームに入った。
ネプスは、3人を見送ると自分の片手を機械の中央位置にかざして目をつぶった。
さて、ゲストルームに入った途端、サライの左前腕が震えた。
「なんだね」