ネドは翌日の勤務は滞りなくこなした。
総会は何事もなく、開催し終了した。変わった点と言えば、会議の開始前の通例となっている、ここの宇宙ステーションの責任者の大佐のあいさつに、昨夜の事件のお詫びが、サラリと付け加えられた事だ。
ゼルダ星から犯人の引き渡し要求があったのは言うまでもないが、会議が終了してから、追って対応しますとして、どうもゼルダ側を抑えたようだとの話が聞こえてきた。
ネドは休暇が与えられ、開ける暇がなかったメールを開いてみると、ネメス星の美女サリトから、メールが来ていた。
ワオ!
ネメス星の、例の反体制派ヤデンの救出作戦の後、ネメス星でクーデターが起こり、体制は崩れ、独裁政治を行っていた大統領は追放となり、ヤデンとサリトはネメス星に戻っていた。
二人のその後が気になっていたネドは、ヤデンを指導者とした新しい体制が作られた事をニュースで知り、ほっと胸をなでおろしていた。
ネドはヤデンとサリト宛に、母星に戻られたことを、私も嬉しく思います、そして、新体制となったネメス星に幸あらんことを祈りますとの挨拶のメールを送っていた。
さて、開けた途端、サリトの美しい笑顔が、あの笑みが映し出された。
ネドが送ったメッセージメールのお礼と、現在の様子を話していた。
あれから、あの脱出劇からどれだけ経ったのだろう。懐かしい思いがネドの心に広がった。
サリトは画像の中で、ネメス星は平穏な日常が戻りつつあり、自分は幼稚園の先生をしていると言っていた。
そうか。幼稚園の先生か。
ネメス星の近くに来ることがあったら、是非、寄ってくださいねと彼女は微笑んで言って、メールは終わったのだった。
そういえばとテラの航行スケジュールを確認してみると、例の、ネメス星近くの宇宙連邦軍第9ステーションに寄港予定がある。あっ、来月か。
ネドは早速、サリトに画像メールを送った。
やがて二人は、宇宙通信でおしゃべりをするようになっていった。