ネドは、これからのケネス星を想った。
そして、自分が抜けた後の宇宙連邦軍を想った。
そして、これからの宇宙連邦を想った。
そして、自分ができることを想った。
ネドは、しばらく固まって考えていた。
どのぐらいここに座ったまま考えていたのだろう。
ネドは、チムナスが心配になったのか、近づいてくる気配を感じた。
ネドは顔を上げた。
「チムナス、大丈夫だよ。ありがとう。なんだかわかってきた気がする」
僕はソファから立ち上がった。
「あっ、そうだ」
僕は思わずつぶやいて、その場で立ち上がったまま左前腕を触った。
商務庁長官フェレルにアポイントを取ろうと思った。ちょっと会っていただけないかと秘書に伝えてもらった。いつでもいいのでと。
僕は奥の間を出た。そして 神殿の中庭に出ると、もう夕方に近いのが分かった。
神殿の柱に当たる陽が、もう、山吹色になっている。庭を道路まで歩く。
まもなく赤く染まってくるな。
そうだ、僕はお昼も食べていない。
「ねえ、ノード。もう、帰っていいよ。悪かったね」
ネドは振り返って、後ろから付いてきているノードに言った。
「いいえ」
「ノード。いつもありがとう。いつでも僕を最優先にしてくれて。でも、もう、大丈夫だからね」
「いいえ、おじいさまもご承知ですから。ご自分は合成調理器があるからいいと、先日もおっしゃっておられました」
まもなく神殿の門に着くところで、前を見つめた二人の前に、一台の車が門の前の道路に着いたのが見えた。
車の扉が開いて、商務省長官のフェレルが車から出てきた。早いなあ。
「ああ、どうも僕を最優先にする人が、また一人現れたようだよ」
そう言うとネドはノードと別れて、フェレルの車に乗った。
「ネド、君とドライブするのは何年ぶりだろう?」
フェレルは、本当に嬉しそうに、隣に乗ったネドを見た。
車は自動に切り替えてある。
ゆっくり車が動き出した。
「そうですね、5年振りかな」
「そうか、それ位経つか」
「前行っていた店でいいかな」
「ええ」
「良かった。予約してあるんだ」