その後のテラの勤務では、噂が広まってネドがケネス星の後継者であることを話題にして、からかってくる乗員もいたが、ネドは気にしなかった。
ある日の夜、ネドは自室で、ベッドの背を少し起こして、腕を枕にし、他星の観光ビデオの中で他星の空間に囲まれ、おおいにリラックスしていた。
その時、ネドの左前腕のケネスの器械が振動した。
なにごとかと、気分を害されムッとしながら前腕を確認すると、サライ最高司令官が執務室で会いたいと言ってきている。
ネドはさっと起き上がると、すぐに左前腕を触ってケネス星へ転送で戻った。
ケネス宇宙軍本部の転送室から内部通路を通って、最高司令官の執務室に行ってみると、サライはなんとも困った顔をネドに向けたのだった。
ソファに腰掛けるようにと言うと、サライは 向かい合わせに座って、こう話を切り出した。
「来てくれてありがとう。さて、実は困ったことが起きてね、君に伝えておこうと思ったんだ」
僕は思わず、片眉を上げた。
「ネド、君は隣のハボス星と僕らが、今、新しい関係を築こうとしているのは知っているのかな?」
「ケネスがハボス星に、さまざまな援助を申し出ていることですか?」
「そうだ。僕らは今まであの星が隣の宇宙域にあることは、迷惑としか思ってこなかったが、隣同士であるのに、そういう関係を続けていくのは良くないと、援助を申し出ていたのだが」
「昨年10月ですよね」
「そうだ。なかなか返事が来なくてね」
「来たのですね、やっと」
「そうだ。連絡がきたのは昨日だ。ただ、向こうはこの僕らの援助を受けるに際して、さまざまな条件を付けてきた」
「援助を受ける側が条件ですか」
「そうだ。まあ、僕らケネス側でも、止めてもらいたいことを条件として出したからね。ただ、向こうが言うには、この件を話し合うのに、仲立ちを立てて、話し合いの場を設けたいと言ってきた」
「仲立ちですか」
「そうだ」
「宇宙連邦ですか」
「そうだ」
「宇宙連邦会議にも、めったに出てこないのに」
「そうだ」