出席者の出迎えのために、会場入り口に、この宇宙ステーションの責任者の大佐と宇宙連邦の幹部、そして宇宙連邦軍の幹部が入ってきた。
そしてやがて、さまざまな星の宇宙人が、その星独特の高価そうな衣装に身を包んで、ぞろぞろと会場に入ってきた。
手伝いの士官たちに緊張が走る。
笑顔を張り付けながら、決められたテーブルへエスコートを始めた。
ネドも、エスコートを開始した。
しばらくすると、おじいさんが会場に入ってきた。
ネドはもう、自分の担当の出席者の迎え入れは済んで、会場の中ほどの壁側に立っていたが、おじいさんは僕(ネド)に気が付くと、チラと僕を見て笑みを浮かべた。
僕もチラとおじいさんを見て、微笑みを返した。
暖かな気分に包まれていた僕に、また、先ほどの不気味な思考が入ってきた。
同じ人物だ。
近くにいる。
今度ははっきりとわかる。ネドは思考を集中した。
注意深く、目だけを動かして周りを見回してみた。
あ、あいつだ。
その男は、近くのテーブルで乾杯の飲み物を注いで回っている、このステーションの厨房の係員だった。
ネドはその男の動きを追った。見ていると、その男は、酒のストックが置いてある会場の隅に戻った。
その男はネドのいる位置からは離れてしまった。どうしよう。
会場が一瞬静かになった。
最後の賓客、ゼルダ星の王が会場に姿を現したようだ。
この王の気難しさは、宇宙連邦中に知れ渡っている。
この会場の誰もが、賓客たちは特に、敢えて近寄ったりはしない。
ネドは目であの男を追った。思考を読み取ろうと集中する。
男の思考が読めた!
するとその男は何かを持ち出した。
まずい、銃だ!
ネドは駆け出していた。
ゼルダ王に向かって。
その男は、ゼルダ王に向かって銃を構えた。
「危ない!」
ネドは思わず、ゼルダ王の前へ飛び出した。
その時、ゼルダ王をエスコートしていた宇宙連邦軍の士官が、ゼルダ王を自分の後ろにしゃがませようとして、ゼルダ王に手をかけそうになった。
ネドは咄嗟に、そのエスコートの士官の手を払って自分がゼルダ王に手をかけた。
ゼルダ王は、ネドに押されて倒れた。
スローモーションのように周りが動いていった。
あの厨房の係員は、なぜか銃を落とし周りの警備の士官にバタバタとすぐに取り押さえられた。
しかし会場内は、もう一か所で騒ぎが起きていた。