キラキラ、この部屋の中央が光り、ケネス第107宇宙基地のゲストルームに、キャプテン、キースが転送収容されてきた。
実体化したキャプテン、キースは顔も体も、すでに元の状態に戻っていた。
キャプテン、キースは、すぐに周りを確認して、そしてネドのベッドに近寄り、ネドの状態についてドクター、マシアスに説明を求めた。
「心配ないです。キャプテン」
との報告を受けると、キースは、部屋の中の書斎机に近づき、イスにふかぶかと腰を下ろした。やれやれ。
このゲストルームの静けさの中に、緊急通信の音声だけが響いていた。
キースは、まだ戦闘態勢コードAの為、左前腕を触り、本部に、キース、107基地に到着した旨の連絡だけを入れた。
僕も報告書でも書こうかと、キースが思い始めたころ、オープンになっている緊急通信を通じて、このケネス第107宇宙基地のゲストルームのデスクの通信機から、すさまじいミュール軍の勝利の雄叫びが響き渡った。
ベッドに寄りかかっていたネドは、意識がはっきりしていた為、このミュール軍の雄叫びに、思わず顔を曇らせた。
なぜ、わがケネス軍は何もしなかったのか。腹立たしさがこみあげてくるのだった。
キースは、動じず、半透明パソコンを出して、報告書作りを始めたのだった。
ギガがミュール星のセンサーの範囲外となる少し前に、サライ最高司令官は、ラムル総統と図って、ギガのシリス副長に指示して、ミュール星に対して通信を流させた。
ミュール星の代表者のモル宛に、今回の件は、我々ケネス星が平和目的で訪問した意図が理解いただけず、非常に残念であった。しかし、ケネス星は、貴星の準備が出来た段階で、平和目的で、再度ミュール星を訪問することをお約束します、より良い両星の関係が築けることを切に願っています、という内容の通信を流させたのであった。
これをもって事態は収束した。
ギガがミュールのセンサー範囲を抜け、ケネス第107宇宙基地へ向けて進路変更した旨、シリス副長はサライ最高司令官に報告をした。
サライ最高司令官とラムル総統は、緊急通信を通じて、関わった全ての士官に、ねぎらいの言葉をかけた。
キャプテン、キースは、机の上の器械を操作して、あらためてケネス宇宙軍本部のサライ最高司令官に連絡を入れた。
本部のサライ最高司令官と脇に座っているラムル総統の姿が、ゲストルームに映し出された。
「サライ最高司令官、第107基地のキースです。お手伝いいただいて、本当にありがとうございました」
「いや。キース大佐、ご苦労だった。ギガはもう間もなく、そちらの基地に着くよ。ゆっくり休んでくれ」
「有難うございます、最高司令官」