サライは、
「テラに防御スクリーン」
と、キャプテン席脇の補助イスに向けて歩きながら声を上げた。目の前の宇宙連邦軍宇宙艦にミッドから防御スクリーンを張ったのである。
「了解」
コントロールルームの士官が声を上げた。
そして、サライは席に着くとすぐに、ネドの避難先を補助席のパネルで確認した。ギガであった。
テラの壁の損傷については、宇宙連邦軍宇宙艦ならすぐに防護壁が緊急作動するとは思ったが、安全の為である。
テラの損傷した外壁のから、警報の赤いライトが点滅し続けている。
見つめていると、ケネス艦ミッドのコントロールルームの奥の士官が声を上げた。
「ハボスの小型船が、テラから出航するようです。ハボスの操縦士がテラのコントロールルームにすごい調子で、まくし立てています」
間も無く 、テラの格納庫から、ハボスの小型船が飛び出した。
「防御スクリーン強化」
「了解」
これはミッドのキャプテン、シュメルだ。ミッドの防御スクリーンを強化したのだ。
ハボスはこれから何をするのか。何をしてくるのか。ハボス艦はそばに4艦いるのだ。
そこへ、緊急通信で、
「サライ最高司令官。ギガのキースです」
サライはミッドの補助席のパネルを触った。
「キース、ネドはどうなんだ?」
「最高司令官、我々はケネス星に戻ります。ドクター、マシアスがケネスに戻った方が良いと言っています」
「ネドはどんな感じなんだ?」
「命に別状はないが、重傷との事でした」
ハボスの銃か。
サライの体中が、怒りに満ちた。いや、怒りの熱気は、コントロールルーム乗員全体に満ちた。
さて、話を少し前に戻そう。
テラの乗務員宿舎の自室で眠らされていたネドは、覚醒した。
長時間昏睡状態にさせているわけにもいかず、額から器械が外されたため、自然に目覚めたのだった。
目を開けると、テラの自分の部屋で、脇にドクター、マシアスがいる。マシアスだけだ。その時、ドクター、ネプスは、テラのネド中尉として勤務に着いていた。
ネドは起き上がった。記憶が一気によみがえった。念の攻撃を受けていたこと。そして、ネドは、はっとした。 ハボスの狙いが何だったのか、おぼろげにわかったのだ。