第4章(ケネス宇宙軍での勤務)
もうまもなく、宇宙連邦軍宇宙艦テラは、地球の周回軌道上にある大型宇宙ステーションに着艦する。
宇宙連邦軍の軍人の約8割は地球人の為、久々に母星に帰れるとあって、このテラのコントロールルームの中も明るい雰囲気に満たされていた。
通常、宇宙艦の乗員は一旦乗船すると、だいたい2年は母星に帰れない。
そして、宇宙艦は大型宇宙ステーションにしか着艦しない為、テラの宇宙ステーションへの寄港は2、3ケ月に一度、そして、一旦寄港すると休暇が2週間は取れることになっていた。
ただ、地球については、宇宙連邦軍の母星が地球であること、お偉方の本部への報告や会議が行われ、また宇宙連邦軍宇宙艦の大掛かりな点検修理が行われる事などで、乗員の休暇は4週間と長くなっていた。
となれば、ネドのケネス宇宙軍での長期の勤務(泊りがけの勤務)が始まるということだ。
ネドには、事前にケネス宇宙軍から、日程表が送られてきていた。
親友のミランには、休暇の初めと終わりに飲みに行こうと約束をし、あとは地球の知り合いの家へ泊りに行くんだと、前もって話をしておいた。
いよいよ地球の宇宙ステーションとの着船のやりとりが終わって、このテラの着艦が完了した。
キャプテン、ファウル大佐の艦内スクリーンでの合図の後、一斉に乗員が席を立った。
そして、土産が入っているのだろう、大きな荷物を持ったブルーの制服の一団が、地球宇宙ステーションへの接続口に列をなした。
宇宙ステーション内に入ると、ミランと僕(ネド)は、宇宙ステーション内の店をチラと見て回ったのち、地上へのシャトル便に乗り込んだ。
さあ、飲むぞ。
シャトル便が地球の地上に着くと、ミランと僕は、シャトル便の発着場近くの、大きなホテルのレストラン&バーへ入った。地球の食事をしながら話をし、お酒に切り替えて話をし、出つくすほど話をして、そして二人はそのホテルに泊まった。
翌朝、僕らはどういう関係なんだなどと冗談を言いながら朝食を取って、上機嫌でミランと別れた。
さて、いよいよケネスだ。
左前腕のケネスの器械を触って、ケネス宇宙軍本部の転送室に実体化して、係員のHR(人間型ロボット)に片手を上げて合図をして転送室を出ると、自動ドアの脇に、我が家の執事のノードが立っていた。
「お帰りなさいませ。坊ちゃま」
いつものノードだ。