なんとか、このまま終わってくれるとよいが・・・。
最初にギガのこのコントロールルームの雰囲気を破ったのは、ネメス宇宙ステーションの通信を傍受していた通信士官の上げた声であった。
「キャプテン、ネメスの宇宙ステーションが、テラの小型船の船名を呼んでいるようです」
「・・停止を迫っています」
ギガのコントロールルームに、緊張が走った。
キャプテン、キースは、次々指示を出した。
「防御スクリーンをこの船と小型船に張って」
「防御スクリーン、張りました」
「進路変更して。小型船の後方、左に着けて」
「進路変更」
「キャプテン、小型船が速力を上げました。全開です。」
「ネメス宇宙ステーションが撃墜準備に入るかどうか、聞いていてくれ。入ったら知らせてくれ」
「了解」
キャプテン、キースは右脇のSEに聞いた
「このギガの防御スクリーンを拡大して、テラの小型船を包んで張ることは可能か?」
「可能です」
「では、そうしてくれ」
どの宇宙ステーションも、宇宙艦を撃墜するだけの武器を装備しているが、どこの星の宇宙ステーションでも使用されたとの話は聞いたことは無い。だが、小型船と宇宙ステーションとの距離が宇宙空間的にはまだ近いため、撃墜は可能である。念のためである。これは、小さくとも防御スクリーンを張っていれば撃墜されることは無いが、威力の強い武器を使われた場合、防御スクリーンが小さいと、小型船の揺れがひどくなったり、飛ばされたりして、中に乗っている人間がけがをする恐れがあるからである。
「防御スクリーン拡大、・・今、小型船を包みました」
ケネス宇宙艦ギガの中は、戦闘態勢コードAとなった。
ケネス宇宙軍全艦と本部のコントロールルームに、ギガのコントロールルームの音声がそのまま流される。
通信士官が声を上げた。
「キャプテン、ネメス宇宙ステーションが警備船を発進させるようです」
まもなく、
「ネメス星宇宙ステーションから、今、中型船が発進しました」
「一隻だけかどうかみててくれ」
「了解」
「キャプテン、ネメス宇宙基地が、他の船を呼んでいます。辺境の警備船を呼んでいるようです。不審船と言っています」
通信士官の緊迫した声が響いた。