「ネドが気を失った」
ネドの医療モニターを見ていたドクター、マシアスが声を上げた。
「牽引ビームを小型船に張って、ギガの格納庫まで誘導しろ」
キャプテン、キースの声がコントロールルームに響いた。
「了解」
「小型船のコンピューターに侵入して、小型船の推力を切れ」
「了解」
ギガのコントロールルームの正面の大窓がまた、まぶしく光った。
シュ
シュ
「本部、サライ最高司令官、サライ最高司令官、ギガのキースです。お手伝いいただけませんか?」
キャプテン、キースは本部へオープンになっている緊急通信で呼びかけた。
このままではギガのエネルギーが持たない。
そして、このままではギーア船がワームホールを抜けてギーア側に出てしまうか、もし、ギーア側の反応が早ければ、ギーア軍の応援船がワームホールに入ってきてしまう。
「キャプテン、キース。小型船のコンピューターにはもう、こちらで入っている。小型船を停止させるから、君も停止してくれ。今、わが艦ミッドが、ギーア側からワームホールに入るから」
サライ最高司令官の落ち着いた声が、ケネス宇宙軍本部と全ケネス宇宙艦に響いた。
「了解しました。有難うございます。最高司令官」
「最高司令官、小型船のコンピューター掌握、完了しました。停止作業を開始します」
ケネス宇宙軍本部の士官の声が入ってきた。
「小型船が減速しています」
こちらはギガのコントロールルームの士官の声だ。
「こちらも減速して」
「減速」
「小型船が停止したら、こちらも停止だ」
「了解」
前を行くギーア船が離れ始めた。
「キャプテン、キース。今、ワームホールのギーア側の宇宙基地からスクリーンを張って、ワームホールのギーア側を閉鎖した。もう、ギーア船の通信がギーア星の宇宙基地へ届くことは無いし、ギーアの応援船も入って来ない」
「了解しました」
モニターを見ていたギガの士官から、声が上がった。
「小型船が停止しました」