ネドの行方を探し続けていたケネス宇宙軍本部のセンサーに、ネドがかかった。
横の技術者たちの連携が非常に強いケネスである。
ケネス宇宙艦ギガのコントロールルームのセンサーも導通して、検索結果がギガにそのままもたらされた。
「居ました」
「居た」
「ネド中尉が、居ました」
「居た」
「ケネス星です」
ギガのコントロールルームにいたドクター、マシアスは、すぐに自分の左前腕を触って、
「ネドの元へ」
と言って、転送でネドの元に向かった。
この声は、Bコードのままであったため、緊急通信で、そのままサライ最高司令官にも、神殿にいたラムル総統にも、左前腕の器械を通じて興奮の声がそのまま流れたのである。
そして、ケネス星全体にも、緊急通信でネドが見つかったことが流れた。
サライもラムルも、同時に左前腕を触り、転送でネドの元へ向かった。
実体化したところは、ケネスのタイムマシン研究所の中であった。
ネドの行方不明の件があった為、本日予定されていた実験は中止され、研究所員は何か助ける手立てはないか、会議室に集まって話し合い、考え続けていたところであった。
タイムマシン実験室の部屋の警報が鳴った。異変を知らせる警報が。
研究所員たちは、走って実験室に向かった。
バタバタ足音を立てて研究所員たちが実験室に入った時、彼らが目にしたものは、部屋の中央に倒れているネドと、実体化する直前の、3つの光の渦であった。
すぐに、3つの光の渦は、3人の人物に変わった。
ドクター、マシアスはすぐにネドに医療モニターを当てた。
ネドは気を失っているだけであった。
マシアスがネドの鼻に、自分のウエストポーチから取り出した小さな容器を近づけると、ネドは、ゴホンゴホンと咳き込みながら、意識を取り戻した。
気が付いたネドは、目をぐるりと周りに向けて、考えているようであった。
「良かった」
「ネド、良かった」
ドクター、マシアスは左前腕を触り筒形のストレッチャーを転送させた。
空中に停止しているストレッチャー(銀色の筒)を作動させて、大丈夫だと言うように手をあげたネドを浮かびあがらせ、蓋を開けてストレッチャーに収納させると、マシアスはサライ、ラムル総統、そして周囲に集まった人々に顔を向けて、
「ネドをしばらく転送にかけたくないので、このまま宇宙連邦軍の医務室に運びます」