「タリ、この人は僕の仲間だ。でも、これは内緒だよ。いいね」
「ま、いいけど。でもどこから来たの?」
「それも内緒だ」
僕とドクターは同時に言った。そして、
「タリ、僕らはそれほど時間はかからない。必ず戻ってくるから、ここでじっとしていてくれ」
困惑した顔のタリを残して、すぐにドクターと僕はルワに乗った。
仲間が捕らわれてしまっている以上、急ぎたい。
ドクター、マシアスと並んで、ネドはルワを南の小高い山まで走らせた。
山の上までルワで登り、二人はルワを下りた。
頂上から反対側の下をみると、立体地図の通り、盆地の乾いた平らな薄茶の土の上に、ところどころ緑が固まって見えている。
オアシスだ。昨日学習したとはいえ、本当に他星は様々だなあ。
一番手前のオアシスなら、ルワ無しで行けそうだ。斜面をルワで下るより、駆け降りた方が楽そうだ。
「先に行くよ、マシアス」
僕はルワの手綱を放し、布袋を手に、一気に駆け降りた。
土埃が上がる。転ばないように気を付けながら、落ちるがごとくに駆け降りた。
平らな地面に着くと、ネドは一番近くに見えている緑の固まりに向かって、駆けた。
まもなく、
「ネド、ネド、待って。待ちなさい、危ない!」
マシアスの声とともに、黒い影が、上空から急降下し、ネドに近づいた。
ネドが上を見ると、黒い塊が落ちてくる。
はっとして、銃に手がいったが、撃つ前に、シュッという音とともに、ビュッ、黒い塊がネドのそばを通過して、ブワン、と鈍い音をたてて、地面にぶつかった。
(このラグーが地面に激突しなかったのは、上から見ていたケネス宇宙軍宇宙艦ギガが、このラグーにスクリーンを張った為である)
手にケネスの銃を持って、ドクターマシアスはネドに近づいた。
すぐに周りがキラキラ光って、十人ほどの人間が実体化した。
中央に実態化したハンサムな青年は、周りの状況を確認しながら、
「注意しろ」
と部下に声をかけた。
目線をネドに留めると、近づいて、
「気をつけなさい、ネド」
と声をかけた。
この男はケネス宇宙軍宇宙艦ギガの副長シリスである。