「マシアスさま、ようこそ」
スプームはパトスに飲み物を頼むと、ネドに大窓のそばのソファを勧めた。マシアスはパトスについてキッチンへ向かった。ネドの隣へ腰かけたスプームは、
「どうだい、ネド。星がきれいでしょ」
と言って窓から見える星を見上げた。たくさんの星々が闇の中でキラキラ光ってみえている。
「ええ」
ネドも美しい星を眺めた。
「ま、君は毎日見ているか。・・・ところで、ネド。宇宙連邦軍の方はどんな感じ?勝手が違って大変でしょ」
スプームは早速、ネドの宇宙連邦軍での生活に水を向けた。
「ええ、戸惑うことばかりです。いや、でした、かな。もう大分慣れてきたから」
「君が戸惑うのは、僕、いや、僕らにもわかるよ。僕らはねえ、周りの星人が宇宙に進出しだした頃、彼らと接するのが大変だった。本当に。だからわかるんだ。君の大変さが」
「僕は・・・、僕は、他星人は大嫌いです。好きになれない」
吐き捨てるようにネドはそう言って、急にまじめな顔になった。
「よくわかるよ。僕らもどれだけそう思ってきたことか」
パトスが飲み物を持ってきた。脇の小さいテーブルにトントンと二つ置いて行った。
「ありがとう」
「ありがとう、パトス」
スプームは目線をネドに戻して話し出した。
「正直言うと、僕は今でも時々、他星人を大嫌いだと思うことがあるよ」
「今でも?」
「そう、いまでもね。君は、僕らが今でも、教育プログラムの立体シュミレーションを使っているのを知っているよね。僕らは他星人といかにストレスなく接していけるかと、いまでも頭を悩ませているんだ。シュミレーションで検討しながら、今でも頑張っているんだ。互いに嫌な思いをしないようにね」
「・・」
「それに僕らケネスのネットの中にドクター、ネプスの作ったサイトがあるのを知っている?」
「精神科医の?」
「そう、彼の。いわゆるガス抜きサイト」
「え?」
「たまりに溜まった怒りや憤り、精神的な疲れを抜いて、爽快にしてくれる、そして、気持ちを切り替えてくれるやつだよ」