早速、植物学者の女性が近づいてきて、ここからだと調査地点まで30分は歩かなければならないのではないですか、と文句を言ってきた。
部下となった乗員と自分とで、学者たちの荷物を一部持ち、ネドが先導して調査地点へ向けて出発した。
足元を気を付けながら、センサーで目標地点の位置を確認しながら進む。
吹き出す汗をぬぐいながら、やっと調査地点へ着いた。
崖があり、地層がむきだしになっている。
鉱物学者は早速、調査に入った。
植物学者は、むっとした顔をネドに向けてから、崖周りの植物の調査に入った。
この二人の指示で、ネドの部下二人は、調査の手伝いに入った。
この星に着陸してから、ネドも部下も、一応はセンサーを周りに向けて、安全確認をしていた。無人の惑星である。必要性がないのだろうが、これはテラでの、いや、宇宙連邦軍での地上訓練のマニュアルである。
ただ、ネドは降りてから嫌な予感がしていた。
部下や学者たちの行動を目で追って確認しながら、ネドは時々センサーに目を向けていた。
その時、生体反応の影が写った。複数の生体が、こちらに向かって動いて来るようだ。
近い!
「中止しろ!隠れろ!木の陰に隠れるんだ」
ネドはメンバーに駆け寄りながら、声を抑えながら、叫んだ。
キョトンとしているメンバーに
「隠れるんだ!」
と身振りで促した。
複数の人間?もしくは生物の足音が聞こえた。
ガサガサッ
ガサガサッ
近づいてくる。
ネドは銃を出し、部下にも身振りで銃を構えるように命じた。
木の下でメンバーも自分も身を縮めているが、どうする。
学者二人は、訓練などは全く積んでいない。
しかし、何なのだろう。ここ惑星Xの生物は、まだ海の中と海辺、そして川と川べりだけに限られている。
来た!
グレーの制服姿が見えた。
ギーア星人である。
そうか、抜けてきたか。