「そちらに2隻向かわせる。ミッドがもう、ガンマ星の宇宙域に入る。透明スクリーンを切って、入るように指示した。もう一隻は、透明スクリーンをかけた状態で、直接、そちらのすぐ近くに、転送する予定だ」
「ありがとうございます」
「衛星の周回軌道に入ります」
「減速したままだ。舵を上に切れ、そのまま周回させて」
「了解」
「周回軌道に入りました」
ゆっくりと小型船が、そしてギガもガンマ星の衛星の周回軌道を旋回し始めた。
「ミッドがL字方向から近づいてきます」
「わかった」
衛星の脇の位置でほぼ停止した状態でビームを発射していたハボス船は、今度はガンマ星の衛星の周回軌道に入る形で、右上方向から小型船に近づいてきた。
ネド以外のコントロールルームにいる乗員全部が、何が行われようとするのかわかっていた。
やつらはまず、ビームで小型船を停止させ、マグネット付きのコードを何本か小型船に向けて発射して取り付けて、ハボス星まで曳航するつもりだろう。いままでのケネスが掴んだ情報からすると、抵抗を止めさせるために、小型船の正面の窓を破壊するだろう。
キャプテン、キースの声が、コントロールルームに響いた。
「ハボス船が僕らの小型船に向けて、正面からビームを発射したら、周回軌道を離脱する。準備をしてくれ」
「了解」
「了解」
コントロールルームの乗員は全て、右手のボタンを触った。
シュッと自動で乗員はベルトでイスに固定された。
キースは、左手でパネルを触って、シュッ、補助席のネドをシートベルトに固定した。
「小型船に向けビームが・・」
コントロールルームの士官の発した言葉にかぶる形で、
「軌道離脱!」
キャプテン、キースが声を上げた。
「離脱」
舵を急に切ったおかげで、ギガの中はひどい揺れに見舞われた。
金色のビームがそのまま宇宙空間を直進し、通り過ぎていった。
一瞬の間ののち、ハボス船2隻は、小型船を追尾し始めた。
この時点でも、小型船(ギガもだが)は全速力を出してはいない。
ハボス船2隻は、小型船に向かって、ビームを執拗に連射し始めた。
そこに、前方からケネスの大型艦が近づいてくるのが、ハボス船に視認されることとなった。
ハボス船が2隻とも、減速した。