「ミッドのシュメルです。ハボス艦が、テラの脇に到着し、停止しました。護衛艦3隻を従えています」
「ああ、わかった。ま、テラのセンサーの範囲内で何か起こす気はないだろう。だが、気を付けてくれ」
「了解です」
サライは合図に左前腕を触って、
「フィッツ、フレル、ガミュー、そしてギガも気を付けてくれ」
と周りにいる自艦4隻にも注意を与えた。
そして、サライは、すぐにまた左前腕を触った。
「キャプテン、シュメル、ハボスの通信に気を付けてくれ」
「通信士官諸君、手分けしてこの周りの全てのハボス艦の通信を傍受して、変化があったら知らせてくれ」
サライは、あまりの疲れにソファの背にどっともたれた。もたれながら、
「プロー秘書官、ヴァレス補佐官、二人とも、ちょっとゆっくりしてくれ」
と声をかけた。かけながら首を回して、二人はと見てみると、小型パソコンを転送させて、緊急通信網の画面を見ている。
サライは、再度左前腕を触って、こう指示した。
「各艦に告ぐ。長期戦になりそうだ。交代しながら休憩してくれ」
「了解です」
「了解です」
サライは目を閉じた。
そろそろ30分が経とうとしていた。
サライの左前腕が震えた。
「最高司令官、わかりました」
ネプスの声だ。
「ハボス船の機械を指示通りに転送してくれ」
サライはそのまま左前腕に向かって転送士官に指示をした。
「了解」
「転送、・・完了しました」
その後ネプスはサライ最高司令官に、自分自身が直接確認した、ハボス星人がネドへ送っていた精神波の念の内容を伝えたのだった。
サライは、ただ黙って聞いていた。
ところがその後、ハボス星の代表者たちの宇宙連邦軍宇宙艦テラへの乗船は、遅れに遅れた。
脇に来ていながらハボス側は、テラへなかなか小型船の乗船の連絡を送ってこない。
しびれを切らしたテラのコントロールルームが呼びかけても、返信をよこさない。やっときた通信は、ハボス側の乗船者が一名増えるとの内容だった。