「テラの小型船のコンピューターに侵入してくれないか?こちらでコントロールしたい」
キャプテン、キースは静かに言った。
「了解しました。侵入開始します」
これから起こることに対処するためには、ギガが小型船をコントロールできるようにしておいた方が良いだろう。
キャプテン、キースは、以前のギーア星人との件を思い出していた。
人間は、ゆとりが無くなると、どんなに指示をしても、その人間が指示を理性的に理解しようとしなくなる危険性を持っている。
「侵入・・完了しました」
「わかった」
正面スクリーン左下の地図の中では、辺境にいる中型船1隻が、推力全開でこちらに近づいて来ているのが映し出されていた。
「誰か小型船操作に入ってくれ」
「シリス、入ります」
「頼んだぞ」
キースは振り返って、
「ゲイン、ネメス艦に幻影操作をすることは可能か」
と聞いた。
左手の士官が応えた。
「はい、ネメスは全て宇宙連邦製ですから、もちろん可能ですが、・・」
「続けて」
「時間がかかりすぎます。まだ、ネメス宇宙基地のセンサー範囲内ですから、基地とネメス船2隻ですと」
「うーむ」
「それより、ケネスの倉庫に宇宙連邦軍の小型船がありますから、現実の、おとりとして転送させた方が速いかと思います」
「なるほど、転送させて、破壊させた方が速いという事か」
「はい」
(これが、ケネスである。意見があれば、上官に対しても関係なく、意見を言っていく。躊躇はいらない、必要ない)
「キャプテン、まもなく、小型船がネメスの中型船の撃墜ビームの射程範囲内に入ります」
「わかった」
と、キースが応えた直後、小型船後方のネメスの中型船から、オレンジ色のビームがテラの小型船に向けて発射された。
「ネメス船、小型船に向け撃墜ビームを発射」