ハボス船は着船のやりとりをしているのだろう。
ギガで送っていくとの話を断ってしまったが、ネメス星の商業ルートまではまだ、距離がある。
ネドはネメス星の商業ルートに乗るべく、小型船を、第9宇宙ステーションとハボス船の間を通過するように進路を取った。一番近い直線距離である。
ギガのコントロールルームの大きな正面スクリーンに、ネドの乗った小さい船が、停止しているハボスの中型船の正面を通るのが映し出された。
キースは嫌な予感がした。
「ネドの小型船のコンピューターに侵入してくれないか。操舵をここで掌握できるようにしておきたい」
キャプテン、キースは左脇のSEに顔を向けて、指示をした。
「了解です」
ネドの小型船がハボス船の前にでて、そのまま直進していく。
ギガもゆっくりネドの小型船の後方を直進した。当然透明スクリーンをかけている。
ギガもハボス船の正面を通過した。ハボスの中型船が後方に遠ざかって行く。
ケネス艦ギガのコントロールルームに、安堵の雰囲気が漂った。
が・・・ギガのセンサー担当の士官が、突然、声を上げた。
「キャプテン、ハボス船が動きました・・こちらへ向かって前進しています」
ギガのコントロールルームが、一気に緊張感に包まれた。
「防御スクリーン強化」
「了解、防御スクリーンレベル・・」
「レベル5」
「レベル5、上げました」
「ハボス船、小型船に向けて速度を上げています」
「シリス、小型船の操縦に入って防御スクリーンから出ないようにしてくれないか」
「了解です」
「ハボス船接近」
コントロールルームの士官が声を上げる。
「ギガがハボス船とぶつからないようにしてくれ」
「了解」
「正面スクリーンにこの宇宙域のセンサー範囲をすべて出してくれないか。中央下に出してくれ」
「了解」
「コードAにしてくれ」
「了解、戦闘態勢コードA」