接続口を抜けてケネス宇宙ステーションに入ると、この大きいステーションの中は相変わらず、近隣の宇宙人や、宇宙艦の乗組員でにぎわっていた。
「ミラン、ここで見ていくでしょ」
「そうします」
「下に降りたら、飲まないか」
「是非お願いします」
「ホテルに連絡するよ」
「ありがとうございます。待っています」
「じゃ」
「あっ、僕はいつでもいいので、ゆっくりしてらして下さい」
「ああ、ありがとう」
ミランは、すぐ脇の店の中へ消えていった。
ネドは一人、地上へ降りるシャトル便の乗り場へ向かった。
30分ほどで地上のシャトル基地へ着くと、ネドは市内へ向かう高速鉄道の乗り場へ向かう他星の人々の流れから離れて、一人、ゲートへ向かった。
制限区域内に入るゲートである。
ケネス星は制限区域を設けて、他星人には一部の非制限区域にしか立ち入らせていない。ケネス星の大半を制限区域としている。
宇宙連邦の各惑星からは、排他的と常に批判の的となっているが、それに対してケネス星人は、何かしら理由をつけて現状を維持し続けている。
ゲートの警備の職員に手をあげて合図をしてゲートを抜け、正面の扉を入ると、薄茶の制服を着たわが家の執事、ノードが立っていた。
「おかえりなさいませ」
「ノード!」
「ご無事でなによりです」
思わずネドはノードを抱きしめた。ほぼ泣かんばかりに。
この執事ノードは、ケネスの、並外れて高い科学技術によって作られた人間型ロボットである。ここまで精巧な人間型ロボットは他星には存在していない。また、このロボットの存在は、他星には知られていない。
ネドはノードに見守られて大きくなった。
ネドにとってノードは肉親である。
「何も変わりはなかった?」
「はい、何も変わっていませんよ、坊ちゃま」
何時もの口調で、ノードは暖かい笑顔をみせた。
正面扉を入ったところは、横に長い通路になっていて、中に高速平面移動ボックスのチュ ーブが走っている。