調査していた学者と宇宙連邦軍の士官が、うつぶせに横たわっているネド(ネドの姿に変身した、ドクターネプス)を見つけたのだった。
ネドが無事にケネス星に戻った時、サライ最高司令官は、高速平面移動ボックスの中から精神科医ネプスに連絡を取った。ネドの身代わりとなるべく、ネプスをデルタ星で旋回中のギガに向かわせたのだった。
ネド以外のケネス星人は、別の人間に形状を変えることが理論上可能である。ただ、ネプス以外は、それを試したこともなければ、試したいとも思ってはいない。
ネドが草原で発見されるようにしたのは、ネプスが、冷たい洞窟の中で横たわって発見されるまで待つのを、嫌がったからであった。
ドクター、ネプスが、発見された後の宇宙連邦軍による尋問に耐え抜いた後で、ネドはようやく、宇宙連邦軍宇宙艦テラに戻ったのだった。
ネプスは内心、嬉々として任務を遂行したと語っていた。
ネドが通常の任務に戻って一週間が経った。
この事件が起こる前から予定されていた、ケネス星の宇宙連邦軍に対する今後の支援について、を議題とするケネス星最高幹部会が開かれた。
この問題は、ケネス星全体を巻き込んでの大きな問題に膨らんでおり、星人全体が関心を寄せていたため、そのまま会議の様子がネットで同時配信され、会議の最後は、星人のネットを介しての投票が行われることとなっていた。
もちろん、ネドは出席するように、この幹部会に呼ばれていた。
ネドは問題が大きくなっていることは知っていた。
ネドには、ケネス星の人々には申し訳ないが、宇宙連邦軍に死者もケガ人も出させないようにするには、ケネス星の支援は欠かせないことに思われた。
さすがに、死者もケガ人もゼロにすることはできなかったが、自分が関わったテラの任務では、死者もケガ人も出さずに来ていた。
ケネス星最高幹部会の開かれる当日、ネドは宇宙連邦軍宇宙艦テラから転送でケネス星へ戻り、会議室に入った。会議室には、ほぼすべての出席者が集まっており、あちこちから、がやがや雑談が聞こえていた。
ネドは、机に自分の名前が記されている、大きなテーブルの末席に着いた。
ラムル総統が会議室に入ってきた。
テーブル前方の正面に座っていたサライ最高司令官が、ラムル総統が着席するのを待って、開会を宣言した。
「さて、諸君、時間となった。始めよう。議題は承知の通り、かねてから問題に上がっていた、宇宙連邦軍に対する今後の支援についてだ。この会議の様子は、そのままネットでこのケネス星全体に流されている。そして、会議の最後に、星人全体の投票で決議となる」
「さてと、最初は発議をしたタビツ財務長官、始めてくれ」
立ち上がった人物は、いかにケネス星の予算が、宇宙連邦軍への支援に割かれているか、長々と語り始めた。