「ネド」
「ネド」
ネドはベッドに寝かされて、額に器械を載せられすぐに深い眠りに落ちたのだった。
約60分後、ネドが休憩室へ戻ると、3人は、それぞれくつろいでいたようだった。
ヤデンとサリトは休憩室の奥の方でソファに横になり、ミランは入り口付近のソファで横になっていたようだが、僕の足音に気が付いて、身を起こした。
ネドは、休憩室で目覚めた直後に、シリス副長と打ち合わせた通りに、3人に話を始めた。
「皆さん、外はもう、心配なくなりました。これから、5時間後に小型船で、テラに戻ります。まだ時間がありますから、皆さんも仮眠をとって下さい」
合成調理器にネドも近寄り、飲み物を口にした。
時間がくると、ネドはみんなを促して通路を通り、テラの小型船に戻って、無人宇宙基地45を出航したのだった。
キャプテン、キースの指示で、副長シリスが無人基地45のコントロールルームへ入り、ケネス艦ギガと連携しながらこの基地をテラに向けてかなり移動させていた。この基地とギガとのコンピューターの導通はすでに切られていた。あくまでも緊急時の導通であり、長時間は導通させての作業は行わない。艦にも負荷がかかる。
もう、宇宙連邦軍第9ステーションおよびテラのセンサー範囲ギリギリまで、近づいている。
出航後、ネドは、当初の予定通りのルートでテラに向かうように計算しながら、小型船を動かしていた。
やがて、ネドは操舵パネルを操作し終わると、後ろを振り返った。
「皆さん、操舵は自動に切り替えました。もう大丈夫です。後、2時間ほどで、宇宙連邦軍宇宙艦テラに着きます。後ろに毛布があります。ゆっくりなさってください。ミランもね」
ミランはすぐに動いて、後ろに置いてある毛布を手に取って、サリトとヤデンに渡した。
1時間程経って、ネドとミランは、起き上がった。
正面の窓に、宇宙連邦軍宇宙観艦テラが、見えて来た。
ほぼ当初の打ち合わせ通りの時間に、通常使わない周波数でテラに連絡を入れた。商業ルートの他船に聞かれてはまずい。
そして、時間通りにテラの格納庫に着船したのだった。
やった。そして終わった。
ネドは、テラの小型船を出る前に、3人を呼び止めた。
3人に視線を合わせながら、
「ヤデンさん、サリトさん、そして、ミラン。もう一度例の事を確認させていただきたいのですが」
と話し始めたが、3人の顔に浮かんだ、キョトンとした表情を見て、ネドは、すぐに悟った。マシアスが動いたな。
「いえ、なんでもありません。無事にテラに着けて良かったです。さあ、降りましょう。・・足元に気を付けてください」
小型船を下りると、ヤデンは、さすがに組織を率いる人物である。立ち止まって、ミランと僕に視線を向けて、
「本当にお二人のお陰です。なんとお礼を申し上げてよいやら」
と感謝の言葉を口にした。