「うーん」
「僕らは、この捕まらないことに、ようやくハボスが気づきだしたのではないかと思っている」
「科学技術のレベルが違うことに、ハボスが気が付いたということですか?」
「というより、僕は機動性の良さだと思っているが。彼らにしてみれば、小型船そのものを捕まえて、調べたいと思っているのではないかな」
「うーん。僕の船は、格好の餌だったんですね」
「ああ、そうだ。それでだ。僕らケネス宇宙軍の人間は、上の者下の者、立場がどうであれ、全ての乗員が情報には非常に敏感だ。把握していて当たり前だ。僕らは上の者に任せて、何も考えないでいるというわけではないからね。上下関係なく意見を言うことが当たり前となっている僕らの社会、まあ軍を含めてだが、上の者が情報に敏感なら、下の者も同じだけ情報に敏感だ」
「うーん」
「僕らは、ハボスの中型船が宇宙連邦軍第9ステーションに近づいていることに気が付いた時から、危ないと認識していた」
「僕が情報に疎かったということですね」
「うーん、それを責めているわけではない。君は宇宙連邦軍で仕事をしているし、だから個人的に使える時間は限られている」
「ええ、まあ」
「ところで、ネド、君は僕らケネス宇宙軍での勤務は、今までに何回経験している?」
「えー、長期休暇の時だけですから、4回、4回だと思います」
「だよね」
「ええ」
「僕は、君が両方を平行して行っていくことは無理があると思っているんだ」
「ということは」
「そろそろ、僕らケネス宇宙軍のみで勤務することを考えた方が良いと僕は思っているんだがね」
「うーん」
「すぐに結論を出すことはないし、僕が押し付けることでもない。これは僕の個人的な意見だからね」
「うーん、はい」
「ネド、ゆっくり考えてみてくれないか」
「はい」
「さて、話は以上だ」
「そうだ、泊まるのは乗務員宿舎でいいかな?」
「・・はい」
ネドはやっと明るい声を出した。