シュッ
キャプテンの執務室に入ると、
「掛けて」
ネドにソファを勧めて、自分も向かいのソファに座るとキースは話し始めた。
「渋い顔しないで。僕らはケネス星人だから、人を責めるために話はしないよ」
「・・・」
「ただ、今後のために考えてもらいたいと思って話をする。一つは、今日の君の行動を見ていて、感じたことだ。君は、ハボス船に最初に追いかけられた時に、小型船を右に切って速度を上げたよね」
「はい。左後方から接近されていますから。それに、このままの形でネメスの商業ルートには入らない方が良いと思ったので」
「なるほどね。そうだろうが、ギガから防御スクリーンを張っている状態で、操舵を急に切ったり、スクリーン内で速度を急激に上げたりしたら、防御スクリーンに当たるか、もしくは、僕らが、すぐに防御スクリーンを弱めれば、防御スクリーンから出てしまうよね」
「防御スクリーンを別に張ってもらえれば」
「うーん、ただそれをしたら、ビームの当たり方次第で、防御スクリーンがちぎられて小型船が吹き飛んでいく可能性があるよ。相手はハボスなんだから、武器は強力だよ」
「ふー、すいませんでした」
「謝ることは無いけど。ここはケネスだからね。謝ってもらいたくて言っているわけではないからね。えーと、それから、最近のこの宇宙域の情報はどれくらい把握しているのかな」
「・・・ガンマ星の近くに海賊船が出没していることは知っていました」
「そうだが。最近、この宇宙域で、ぼくらケネスの小型民間船が狙われるケースがでてきている。知っていたかな?」
「え、でも、それは前にもありましたよね」
「だが、最近は、積み荷がおそらく無い、あるいはたいした物がないと思われる場合にも、海賊船に襲われるケースが出てきているんだ」
「と言うことは、ガンマ星に積み荷を下ろした帰りに、襲われるということですか?」
「そうだ。・・もちろん、僕らは捕まらないけどね」