「わかった。シリス副長。ご苦労。ではネドに伝えてくれないか。このギーアの中型船の格納庫に、ギーアの小型船が一機積まれている。テラの乗員をこれに乗せて、ここを脱出して、惑星Xに戻ってもらいたい」
「了解しました。最高司令官」
「ネド少尉、ここの留置所へまず行ってくれ。それからテラの乗員を連れて、ここのギーア船の格納庫へ行き、そこにギーアの小型船が一機止まっているから、それにテラの乗員を乗せて、ここを脱出して惑星Xに戻ってくれ」
「了解です」
「そこの2名、ネド少尉について留置所へ行ってくれ」
「了解」
「了解」
ネドはケネスの士官2名と、テラの小型船の乗員が捕らわれた、このギーア船の留置所へ向かった。
左前腕から発される赤い光をたどって留置所のすぐそばに着くと、ネドは立ち止まって、左前腕を触ってケネス星のコンピューターに、ギーア船の立体地図を出させた。留置所からここの格納庫までの道筋を覚えこむ。
ネドと共に留置所まで来たケネスの士官達は、左前腕を触って、留置所脇へ到着した旨を、シリス副長へ報告した。
一方、自動ドアをロックされてしまったギーア船内の各部屋では、ギーア星人たちが、銃を使ってドアを破って次々通路に出てきていた。
ギーア船内をモニターで見ているギガも本部もケネスの大型艦ミッドもそのことは掴んでいた。
ネドに付いている士官には、注意するようにと指示が入った。
ネドは持っていたケネスの銃を転送で戻し、宇宙連邦軍の銃を構えた。そして、ネドは留置所の正面に姿を現した。同時に2名のケネスの士官達は身を隠した。
ネドが留置所の外に来たのを見て、ざわつく留置所内のテラの乗員たちに、
「今、助ける。離れて」
とネドは声をかけた。
そして、格子の右手の柱の器械を銃で破壊した。
扉が開くと、
「こっちだ。あわてないで」
と銃の先を振り、声をかけながら、部下たちを誘導した。
気絶しているギーア星人たちの脇を通って、ネド達は格納庫まで進んでいった。
格納庫に着いた。
ネドは素早く通路の窓から格納庫の中を確認した。
ギーアの小型船は格納庫奥、外壁側右に置かれているようだ。