ギガの正面スクリーンには小型船2隻が並んで映っている。
右手のネドの小型船は、ギガの透明スクリーンで、若干、白っぽく映っている。
「進路変更、右に」
正面スクリーン右に若干白っぽく、宇宙基地45が奥に視認できた。
キャプテン、キースの声が響く。
「了解」
「小型船が45の透明スクリーン内に入ったら、こちらのスクリーンと切り替えて」
「了解です」
副長シリスの声が響いた。
転送された、正面スクリーン内のケネスの宇宙連邦軍製小型船は、みるみる正面スクリーンから左にはずれていく。そこを、ネメスのビームのオレンジ色の線が追っていく。
ミッドよ、うまくやってくれ。
右に進路を切ったギガの正面スクリーンにみるみる宇宙基地45が大きく見え始めた。
「減速して」
「減速」
「透明スクリーン、切り替えました。45から張っています」
「わかった」
「45は停止させて。僕らは、45を周回だ」
「了解」
「了解、45停止」
「進路変更、左へ。45から少しギガを離してから、旋回を開始して」
「了解」
キャプテン、キースが次々、指示を飛ばす。やがて、
「キャプテン、テラの小型船が、今、45宇宙基地に着船しました」
副長シリスの声だ。
「わかった」
ここで、医務室からコントロールルームに上がって、ネドをモニターしていたドクター、マシアスが声を上げた。
「キャプテン、ネドが体力を消耗していて、もう、限界です。今の状態では、転送はできないです」
転送は、ケネスの科学技術をもってしても、体にダメージは避けられない。
患者がある程度以上に状態が悪くなってしまうと、転送は行わない。
「わかった、ドクター。ただ、ちょっとタイミングを待ってくれないか」
ネドの当初の計画通りにテラに帰還させるためには、ケネス宇宙艦を使うのであれば時間はまだ、ある程度はある。
「わかりました。ただ、キャプテン。本人に接触するのは後にするにしても、45基地の医務室には、僕が先に行って整えておいた方が良いと思うのですが」