「す、すいません。申し訳ありません」
実体化したネドはすぐにこの言葉を口にした。もう少しで気圧、温度、酸素濃度の安全性が確認される前の格納庫に実体化するところであった。
「ネド、いいから。ちょっと深呼吸してみて、ゆっくり・・もう一度」
ドクター、マシアスがネドの脇で言った。
「ドクター、マシアス。彼は大丈夫なのか?」
キャプテン、キースの声だ。
「大丈夫ですよ。ま、彼は寝不足だとは言えますがね」
キャプテン、キースは手元のパネルに触れて、オレンジ色の点滅を切った。
そして、席を立つと、右手後方でパネルを見ていた副長シリスに、
「シリス、ちょっと代わってくれないか」
と声をかけた。そして、ネドに向かって、
「ネド中尉、ちょっと僕の部屋まで来てくれないか」
と言って、自分の執務室に向かった。
ネドは
「了解です」
と思わず反射的に声を上げた。
キャプテンの執務室に入ると、
「ネド、まずは掛けてくれ」
と、ソファに座るようにネドに促して、キースはネドに、ネメス星の宇宙ステーション脇まで、このギガで君を送っていくよ、と話をしたのだった。
僕(ネド)はすぐに硬い顔をして、
「キャプテン、お話はありがたいのですが、船だけ貸していただければ結構です。自分でやります。心配しないでください」
と言ってすぐに席を立った。
キャプテン、キースはため息をついた。
ネドが乗ったギガの小型船が、ギガの格納庫から宇宙へ飛び出した。
ネドの小型船には、ギガから防御スクリーンが張られた。
ネドの小型船は、宇宙連邦軍第9宇宙ステーションのセンサーの範囲内に入った。
その時、第9宇宙ステーションの近くに、ハボスの中型船が視認された。