これをもって非常事態は解かれたのだった。
ネド達は、ギーアの小型船で惑星Xに降り、テラの小型船へ乗り換えて、テラが他の惑星から惑星Xへ戻って来るのを待って、小型船で無事に帰還したのだった。
ネドはテラの小型船へ乗り換えた直後に、テラのキャプテン、ファウルへ今回の報告を行った。
ギーアの小型船が念入りに調査されたのは言うまでもない。
そして、ワームホールがあったあたりの宇宙域もしばらく宇宙連邦軍で調査が続けられた。
さて、ネドは捉われた部下の後を追って、ギーアの中型船に乗り込んでいたことになっていたが、この後、宇宙連邦軍の中で、いきなり、英雄と呼ばれる存在となった。
一人で、なぞの星人たちから、捕らわれてしまった部下と科学者たちを救出したとして、賞賛の的となったのである。
だが、ネドの心は、周りの反応に逆比例するように落ちこんだ。
僕はなんてことをしたのだろう・・。
ケネス宇宙軍の中で見れば、僕は規律をみだした張本人であり、軍法会議で厳しく処罰されなければならない存在だ。それだけのことをしてしまったのだと、いまさらながら、青くなった。
ネドは休暇を取ることが許されると、すぐに左前腕を触って、まず、ケネス艦ギガに出向いた。
キャプテンキース、シリス副長、乗員のみんなに詫びを言い、それからケネス星へ戻って、サライ最高司令官、祖父のラムル総統にも、直接詫びを言った。
この後、ケネス星の最高幹部会で、この件に関して検討会が開かれた。
ケネス星では、事件の後は必ず検討会が開かれる。関わったものを処罰するためではなく、より良い方法はなかったかと検討し、次に生かすのである。
ギガのキャプテンキース、シリス、そしてネドも呼ばれて、充分時間をかけて質疑応答がなされた。そしてネドには注意と、今後、宇宙連邦軍の休暇の際に、ケネス宇宙軍へ勤務するという教育プログラムが組まれることになった。
だが、この処分には、ネドは納得がいかなかった。
宇宙連邦軍なら軍法会議に駆けられ、禁固刑に当たると思われた。
自分が総統の孫だからと言って、この処分で済まされてしまうのは、納得がいかない。
ネドは、この後、サライ最高司令官にアポイントをとって、左前腕を触って、ケネス星へ戻った。
サライ最高司令官の執務室に入ると、
「ネド。ほう、めずらしいね。何かな?」
机で仕事をしていたサライは顔を上げた。
「実は、私に下った処分についてお話があってきました」
「ふーん、そうか。まあ、掛けないか」
サライ最高司令官はネドにソファアを勧めたが、
「いえ、結構です」
ネドは座ろうとしない。
サライはネドを見上げて小さくため息をついた。
「そうか。では始めてもらおうか」