ハボス星との会議を数日後に控えて、ネドは体調はひどく悪かった。
断続的に不快感が襲ってくる。
数時間から、時には10時間ほどの時間が空いて、突如、ひどい圧力のようなものを感じるのだ。そして、それは一旦始まると時には4、5時間継続することもあった。
念であることはわかっていた。
僕は、ケネス星人なのだから。
最初は自分の精神を集中して、すぐに振り払っていた。しかし何度も、何度も、それは続いた。
ネドは、徐々に疲れてきたこともあるが、相手が何を送ってきているのか、何かを僕にさせたいのか、念の意図を知りたいと思った。
そこで、念をすぐに振り払わずに、ある程度受け入れてみようと思った。
自分の集中力を少し緩めて、思考の中に相手の念を取り入れてみて、探ってみようと思ったのだった。
しかし、そうこうしているうちに会議の日の早朝となった。
ネドは会議には出ないが、ケネス星の幹部の乗船とあって、ケネス側の接待役を命じられていた。
この会議には、ハボス星から代表者3名、ケネス星からは、サライ最高司令官自らと他2名の、やはり計3名が出席することになっていた。
そして仲立ちとなった宇宙連邦からは、幹部2名が出席予定で、すでにこのテラに昨日から乗船していた。
この日、まだ宇宙連邦軍宇宙艦テラの早朝の時刻に、ケネス側から連絡があった。
ケネス側が言うには、今回接待役となっているネド中尉に、差し支えなければ、会議前にテラの中を案内していただけると嬉しいのですがと、サライ最高司令官から要望がでたと、遠回しにテラへの乗船を早める打診をしてきた。
テラとしては、外交儀礼上、当然、断ることなく、当方はすでに準備は整っておりますし、接待役本人も喜んでご案内したいと言っておりますので、どうぞお気兼ねなく、そちら様のご都合の良い時刻にご乗船くださいと、返信をした。
ケネス星の幹部を乗せたケネス宇宙艦ミッドの小型船が、宇宙連邦軍宇宙艦テラの格納庫に入り、外扉が閉じられた。
まだ、朝と言える時間であった。
格納庫の中がケネス星の空気、一気圧に調整されたのが確認されてから、格納庫脇の通路で待っていた、このテラのキャプテン、フアウルと、すでにネドと入れ替わったドクター、ネプスは、ケネス星の会議出席者の歓迎の為、格納庫へ入った。
実はこの前夜、テラの乗務員宿舎のネドの部屋に、2人の人物が転送で入った。
もう、限界となっているネドを休ませるために、ドクター、マシアスとドクター、ネプスが、テラの脇に透明スクリーンをかけて停泊しているギガから、転送で入ったのであった。
宇宙連邦軍の任務にケネス側が干渉することを、ネドはよく思っていないことはわかっていたが、今は緊急事態である。
ぐったりとしたネドとドクターマシアスを宿舎の部屋に残して、ネプスは翌朝、ネドとなってこのテラの格納庫に向かったのだった。
ケネス側出席者が、小型船から降りて、テラの格納庫に降り立った。
この宇宙連邦軍宇宙艦テラのキャプテン、ファウルは、歓迎の笑みを顔に張り付けて、ケネス側出席者に近づいた。
接待役ネド(ネプス)も、続いた。
キャプテン、ファウルは,、気持ちが高揚したのか、両手を広げて速足でサライ最高司令官に近づくと、にこやかにサライに歓迎の言葉をかけ、抱擁し、握手を交わした。