まずい。
ネドは気持ちが悪くなってきた。目の前が黄色くなってくる。
まずい!
ケネス宇宙艦ギガから、この小型船の窓へ偏光スクリーンが張られた。
シュ
シュ
前を行くギーア船から、ビームがまた発射された。
小型船の窓が閃光で鈍く光った。
「ネド、ネド」
船内通信から、キャプテン、キースの声がもう遠くに響いている。
ケネス宇宙艦ギガは、ギガのエネルギーを使って、小型船に防御スクリーンと偏光スクリーンを張り、ギガ自身には、防御スクリーンと透明スクリーンを張って、小型船を追尾する形でワームホール内を直進している。
困った。
艦に負荷がかかりすぎている。
「キャプテン、このままですとパワーダウンします」
ギガのコントロールルームの係員から、声が上がった。
「んー。透明スクリーンを切れ」
「了解」
「小型船の横に並べ」
「了解」
ギーア船の攻撃が一瞬止んだ。
大型船がいきなり現れて動揺したのだろう。
しかし、今度は、ギガに向けて、攻撃が開始された。
シュ
シュ
「ギーア船が当艦に向けてビーム発射」
「着弾しました」
ギガの正面スクリーンがまぶしく光る。
「防御スクリーンで跳ね返しています」
「当艦に損傷ありません」
コントロールルームの士官達から次々報告が上がる。
「キャプテン、ギーア船がギーア星の宇宙基地に、未確認の大型宇宙船に追尾されていると報告しています。応援を求めています」
ギガの通信士の報告が終わらないうちに、小型船の航行をモニターしていた士官から、
「キャプテン、小型船の操縦がされていないようです。自動に切り替えられたわけではあり ません」