「こちらの進路も、小型船に合わせて変更して」
「了解」
ケネス第45無人宇宙基地と小型船の距離がまだある。
物事は早く進められれば、それに越したことは無い。
「ビームが小型船左脇を通過」
「無人基地45自体を動かして、ネドの船に近づけてくれないか」
キースが後方に向かって言った。
「了解しました」
副長シリスの声だ。
「こっち、替わって」
シリスが隣でセンサーを見ていた士官に、ネドの小型船の操舵を替わるように声をかけた。
ここで、後方の士官が声を上げた。
「キャプテン、今、ネメスの宇宙ステーションから別の艦が発進しました」
「大型艦です」
「進路を確認して」
「進路は、・・テラの小型船方向です」
「わかった」
「・・・・全速力を出しています」
「わかった」
事態が刻々と変化する。
もう、このギガだけでは、いっぱいだな。
キャプテン、キースは振り返って、シリスを見た。
「シリス、応援を頼んだ方がいいか?」
「その方が良いと思います。いっぱいです」
キャプテン、キースは右脇のパネルを操作した。
「サライ最高司令官、サライ最高司令官。キースです。お手伝いいただけませんか?」
すでにケネス宇宙軍本部のコントロールルームにいるサライ最高司令官に呼びかけた。
「キース大佐。わかった。聞いていたから、大丈夫だ」
緊張に張り詰めているギガのコントロールルームに、サライ最高司令官の落ち着いた声が響いた。
「ミッドがもう、ネメス宇宙域に入る所だ。ネメス船3隻はこちらで引き受けるよ。そちらで言っていたように、宇宙連邦軍の小型船をケネスの倉庫からそちらに転送して、わがミッドにコントロールさせてネメス船3隻にそれを追いかけさせることにする。頃合いを見て破壊させるようにするよ。小型船に張る透明スクリーンの準備ができたら、言ってくれ。こちらも転送準備をしておく」
「了解しました。有難うございます」