「小型船にまともに当たらないように操作してくれ」
「了解」
張っている防御スクリーンのおかげで、撃墜されることは無いが、近くに当たれば、ある程度の衝撃と光に見舞われるのは避けられない。
ネメスの中型船とネドの小型船は、まだ距離はかなりある状態である。
追ってきているネメス船は撃墜ビームの射程内に入った途端に、攻撃を開始している。
ギガの正面スクリーンの宇宙の闇の中を、オレンジ色の光の筋が通過していく。
「ネメスのビームが小型船右前方下の防御スクリーンに接触しました」
「ネメス船、ビーム発射。連射しています」
「ビーム、小型船前方、・・後方にそれました」
ギガの正面スクリーンの中を、オレンジ色の光の線が幾筋も走って、時々防御スクリーンに当たって、光が炸裂する。
ケネス艦ギガのコントロールルームに、つぎつぎ係員の声が上がる。
そこへ、突然、ネドの声がギガのコントロールルーム、そしてケネス宇宙軍本部のコントロールルーム内にも響いた。
ネドが、ケネス宇宙軍の緊急マニュアル通り、ケネスの無人宇宙基地を呼んでいるのだ。
「キャス通信士官、この通信は、ネメス側に流れているか?」
「いえ、すでに小型船とギガが導通していますから、ギガの通信機を通しています。ネメス側には傍受されていません」
「わかった」
「キャプテン、ネメス宇宙基地内の通信からですが、別の船が発進準備をしているようです」
「わかった。発進したら、知らせてくれ」
「ネメス船、またビームを発射」
ネドがケネスの無人宇宙基地に指示する声が、ギガのコントロールルームに響いた。
「SE君、誰か無人宇宙基地45のコンピューターに侵入してくれ。ギガでコントロールしたい。」
即座にキースの声がギガのコントロールルームに響いた。
「了解」
「ビームが防御スクリーンに当たらないようにしてくれ」
「了解」
「ビームが小型船上空を通過」
「ビームがまた発射されました」
「わかった」
オレンジ色の光の筋が、ギガの正面スクリーンを次々横切っていく。
シュッ シュッツ
「無人宇宙基地45、ギガが掌握完了」
「無人宇宙基地45が遭難船救助マニュアル通り、テラの小型船の牽引収容を開始しようとしていますが、そのままでよろしいでしょうか?」
係の士官から声が上がる。
「わかった。そのまま行ってくれ」
「ネメス船、撃墜ビームをまた発射」
「キャプテン、小型船の向きを変えて45宇宙基地に近づけていいですか」
「シリス、やってくれ」
「了解」