ネドの心拍の動きから、異変を感じたのだ。
お かしい。
「キャプテン、キース。ネドにQコードの準備をしておいてください」
ケネス宇宙艦ギガの正面スクリーンでは、ネドが洞窟の脇道を、自分のライトを下げで歩いている姿が映し出されていた。
一瞬にして、ケネス宇宙軍宇宙艦ギガのコントロールルームの空気が緊張に包まれた。
「わかった」
「ネドにQコードの座標設定をしておいてくれ。ネドに防護シールドDを張っておいてくれ。それから、カメラをもう一台、ネドの上に飛ばしておいてくれないか」
キャプテン、キースの指示の声に反応して、係の士官たちが、次々、了解の声を上げる。
洞窟内は暗いが、ケネスの技術で、カメラは鮮明で明るい画像を送ってきている。
キースが更に指示を飛ばした。
「念のためだ、本部にBコード発生の連絡をしておいてくれ。本部が状況をわかっていたほうがいいだろう」
「Bコード発生を連絡しました。本部と通信、導通しています」
慎重にドルーを追っているネドがたてるわずかな足音を、精巧なマイクが拾って、ギガのコントロールルームに伝えている。
シャリ、シャリ
シャリ、シャリ
ネドが洞窟の奥の部屋のような空間に着いて、岩陰にしゃがんだ。
ケネスの精巧なカメラは1メートル位の高さの銀色に光る半円柱の機械、2台の姿を、そのままギガのコントロールルームの正面のスクリーンに映し出した。
なんなんだ。あれは。
ギガのコントロールルームの士官たちの視線が、正面スクリーンにくぎ付けになった。
ケネス星のケネス宇宙軍本部のコントロールルームでも、サライ最高司令官、本部の士官たち、そして、すぐに駆けつけてきたラムル総統も、映し出された映像にくぎ付けになった。
2台の機械の片方に向かってしゃがんでいた人物が、ネドに振り返った。
「そこにいるのはわかっている。誰だ!出て来い!」
ネドとの緊張した会話が、そのままギガのコントロールルームに、本部に、ケネス軍全艦に流れた。
この後、数分の出来事だった。
宇宙連邦軍の洞窟調査のリーダーらしい人物の声が聞こえ、その後、宇宙連邦軍の制服姿の士官4、5人がネドのいる洞窟に入ってきた。
そして、リーダーらしい人物の一括する声がして、その直後、機械をいじっていた人物に、一人の宇宙連邦軍の士官が、取り押さえようと飛びかかった。