ギガの正面スクリーンの画面の中で、蹴られて目覚め起き上がったハボス星人は、例の機械につかまって、やっと起き上がると、左手を機械に突いて身体を支えながら、機械に右手をかざした。
見ていると機械のスィッチが入ったようだ。機械のパネルの色が変化している。
サライが声を上げた。
「本部のSE諸君。機械に座標を設定して、転送できるように準備をしておいてくれ」
「了解」
「了解」
「飛ばす先だが、そうだな、うーん、惑星Zの宇宙基地の中にしてくれ」
「了解」
「了解」
そして、コントロールルームを見回した。
「諸君、疲れているだろうが、もう先は見えている。頑張ってくれ」
と士官たちに、そして緊急通信で関わっているすべての者に声をかけた。
やがて、
「キャプテン、まもなくテラのセンサー範囲に入ります」
「減速、通常速度」
「減速・・通常速度に落としました」
「・・キャプテン、テラのセンサーの範囲に・・今入りました」
「キャプテン、メッセージ通信をテラに送ります」
コントロールルームの左側の士官が声を上げた。
「わかった」
「ありがとう。・・それで、テラの脇に到着するのは、あとどのくらいかな?」
サライは隣にいるキャプテン、シュメルに聞いた。
シュメルが後ろを振り返ると、
「後、2時間ほどです」
と、士官が声を上げた。
「ありがとう」
隣のキャプテン、シュメルが、
「最高司令官、お休みになったらいかがですか?2時間だけでも」
とサライを気遣った。
「ありがとう、シュメル。気持ちは嬉しいが、コードAのうちは、眠れないよ」
サライはコントロールルームの職員に目を向けて、
「諸君、交代できるものは交代して休んでくれ」
声をかけた。交代している者と同じ士官がずっと勤務し続けている者といるようだ。
そして、サライは気が付いたように、
「キャプテン、シュメル。ちょっとゲストルームへ行ってくるよ」
とシュメルに言って、席を立った。
サライを乗せた後方のエレベーターの扉が閉まる直前、キャプテン、シュメルの、指示する声が聞こえた。
「正面スクリーンに、この艦の周辺の船全てと、そのセンサーの範囲を出してくれないか」
聞いてサライはニヤリとした。