(数時間しか念を掛け続けることはできない。限界がある。それが断続の原因であった)
やがてマシアスは、ネドの疲労の仕方を見ていくうちに、ヤデン救出の件でネメス星にネドが侵入した時、ネドが超能力を使った後のひどい疲れと似ていることに気が付いた。
すごい消耗の仕方だ。
マシアスはすぐに精神科医ネプスに、左前腕を触って連絡を取った。
宇宙通信を使うより、事の重大さがすぐにネプスに伝わるだろう。
ドクター、ネプスが、金色の光とともにギガのゲストルームにすぐに実体化した。
「マシアス、君が僕を呼ぶとはめずらしいね」
にやけた顔をして、ネプスがマシアスに声をかけた。
「ネプス、それどころではない。見てくれ」
真顔でマシアスは、ネプスにネドの医療データを示した。
ネプスの顔色が変わった。
「精神波だ。それも強い精神波が彼を襲っている」
「なんだって!・・Fコード」
(Fコードとは、精神波をブロックするスクリーンを張るコードである)
思わずマシアスが呟いた時、すぐにネプスが、
「ちょっと待ってくれ、マシアス。僕に考えがある。ただ、ネドをすぐにここに転送できるように準備しておいてくれ。なんなら、自動化したQコードの対象にもうしておいてくれていい。ただ、僕にちょっと時間をくれないか。今、僕のところにある機械をここに転送するから、僕に分析させてくれ」
ネプスは一気にしゃべりだして、すぐに左前腕を触った。
ケネス宇宙艦ギガのゲストルームに、70センチ四方位の大きさの箱型の機械が金色の光とともに実体化した。ネプスはすぐにその機械をいじりだした。
マシアスは、その脇で左前腕を触った。
「報告をするよ。しないわけにはいかないから」
と呟きながら、キャプテン、キースに報告を入れた。
この時、日付は変わって会議の2日前となっていた。
サライ最高司令官にギガのキャプテン、キースから報告がされたが、それはサライら会議出席者が、ケネス宇宙艦ミッドに乗船して、ケネス星を発つその日であった。
公式に星を出るため、通常速度である。この宇宙連邦の中で、通常とされている速度で、会議が行われる宇宙連邦軍宇宙艦テラに向かうため、この日の正午出発ということになっていた。
キャプテン、キースから未明にこの報告を受けた時の、最高司令官サライの衝撃はすごかった。これだけ広範囲に宇宙域を飛び交っている、わがケネス宇宙軍でさえ、ぼくらと同等の精神波を持つ宇宙人とは出会ったことは無かっのだ。