サライは更に、このミッドに近い宇宙域にいる自艦を1隻、透明スクリーンを張らせないでこちらに向かわせた。
何なのだろう。やつらは何をしたいのか。
時はどんどん流れていった。コントロールルームの人員交代も何度か行われたが、サライとシュメルはそのままである。
日付は、もう会議が開催される日となっていた。テラの時間でも、ミッドの時間でも真夜中である。
そこへ精神波の解析をしていたケネス艦から、連絡が入った。
「サライ最高司令官。ハボスの精神波の発信者ですが、どうも、機械か、もしくは機械を通じて行っていると思われます。人間でここまで不動の位置はあり得ないですから。分析した座標を送ります」
その報告を聞くと、サライはすぐに左脇のパネルを触って、
「ネドのFコードを上げてくれ。最強にしてくれ」
と指示をした。
そしてケネス艦ギガのキャプテン、キースに、連絡を取った。
「キャプテン、キース。聞いていたと思うが、発信源が特定されて、ネドのFコードを強化した。ドクター、マシアスにネドの部屋に行ってもらえないかな。彼はもう、転送しない方が良いだろう」
と指示した。が、
「最高司令官。報告が後になりましたが、ドクター、マシアスはすでに、テラの乗務員宿舎のネド中尉の部屋に入っています。ドクター、ネプスも、同じく、ネド中尉の部屋に入っています」
と、キースは応えた。
「わかった。キャプテン、キース、ありがとう」
そこへ、
「ハボス艦3隻が速度を落としています」
コントロールルームの士官が声を上げた。味方の艦の出現が、功を奏したか。
「わかった。見ていてくれ。順次報告してくれ。・・・さてと、あとどのくらいで、テラのセンサーの範囲内になる?のかな」
どの士官に聞いてよいか一瞬戸惑ったサライは、隣のキャプテン、シュメルに顔を向けた。
シュメルが後方の士官に振り返った途端、
「あと3時間ほどです」
と声が上がった。
「わかった。ありがとう」
サライは、応えた士官に顔を向けながら言った。
サライは改めて隣のキャプテン、シュメルを見た。
「速度を上げてよろしいでしょうか?」
キャプテン、シュメルは、サライの意図を察して言った。
「ああ、ありがとう。それから、テラのセンサー範囲に入ったら、テラに連絡してもらいたい。僕らの乗船をできれば早めたいと。そうだな。会議前に、ネド中尉にテラの艦内を案内してほしいと、僕が希望していると伝えてくれないか」
と言った。
「わかりました。テラに通信を送ってくれないか」
シュメルは脇の士官に声をかけた。
「了解」
正面スクリーンのハボス艦の動きにサライもシュメルも目をやった。
そこへ、
「ハボス艦3隻、停止するようです・・停止しました」
「方向転換しています。・・・・・・テラへ向かうようです」
「わかった」
ふーむ。お偉方の護衛艦になるつもりなのか?