「うーん。わかった」
言った途端、ドクター、マシアスの周りがキラキラ光に包まれた。
早いな。
ギガは無人宇宙基地第45の周りの旋回を開始した。
正面スクリーンは宇宙の闇と星を映し出していた。そのスクリーンの左下の、本部と導通している地図は、わがケネス宇宙軍宇宙艦ミッドと、ケネスからこの空域へ転送させた、宇宙連邦軍の小型船と、それを追う3隻のネメス船を映し出していたが、やがて、小型船はみごと破壊され、小型船の船の光点は、散って消えたのだった。
ミッド、ありがとう。
しばらくキースはスクリーンの宇宙地図を見ていたが、やがて、さて、後始末に入ろう、と動き出した。
周りからは、やった、やったと小さく呟く声が聞こえている。
「さあ、諸君、後始末にかかろうか」
キャプテン、キースは明るい声を上げた。
「了解」
「了解」
後は、商業ルートを少し外れた位置に停泊している宇宙連邦軍テラのセンサー範囲を計算に入れて、計画通りの位置と時間で、ネドの船にテラのセンサーに入らせればよいだけである。ま、もちろん、小型船の、船の航行記録の書き換えは必要だが。
「モッソ、スクリーン左下の地図を拡大して、テラまで、入れてくれないか。テラのセンサー範囲も表示してくれ」
「了解」
「それから、ネドの予定通りの場合の侵入位置と、時間、船の向き、速度を、地図のテラのセンサーの隣に表示してくれないか」
「了解」
キースは次々指示をしていった。
その頃、ネドはどうなっていたのだろう。
ケネスの無人宇宙基地45に着船した後、気圧、空気、温度の調整が済んで、小型船から格納庫の中へ出られるようになると、ネドは先に降りて、そして、船内から戸惑いながら降りてくるみんなに、明るく声をかけた。
「心配ありません、休憩室へ案内しますよ」
「まあ」
「ほお」
「なるほど」
ネドはこの無人基地には来たことは無いが、ケネス宇宙軍の訓練や、この前のケネス宇宙軍勤務の時にも、無人基地自体には入ったことはあった。無人宇宙基地の外の見た目が同じなら、中の造りは同じであろう。
「こちらへどうぞ」
なんとか笑みを作って、ネドはみんなを休憩室へ案内した。