「そして会議の場として、宇宙連邦軍の宇宙艦を指名してきた」
「ああ、テラですね」
「そういうことだ」
「この間の宇宙連邦会議の懇親会の事件は、さまざまに報道されたから、君がこのケネス星の後継者であることも宇宙連邦中に知れ渡ってしまっている」
「そうですね」
僕はため息をついた。
「それで、君には今後、特に気を付けてほしい」
「?」
「立ち寄る宇宙ステーション内でも、気を付けてほしい」
「と言うことは誘拐される恐れがあるということですか?」
「それはわからない。が、しかねないと僕は思う」
「やっかいですね」
「ああ、そうだ」
「ところで、仲立ちを入れた会議自体は、いつ行われる予定なんですか?」
「再来月を希望してきている」
「返事を遅らせた割には急ですね。もう、月末なんですから」
「ああ」
「でも、僕ら宇宙連邦軍のスケジュールは、当然再来月はすでに決まっていますから、どうなんでしょう。宇宙連邦から打診がきても、宇宙連邦軍の方で、無理に受けるでしょうか」
「受けるだろうね」
「そういうことですか?」
「宇宙連邦の中で、ハボス星は一番の鼻つまみ者だ。落ち着いてくれるのだったら、このチャンスを宇宙連邦は逃さないと僕は思うよ。ということは、宇宙連邦軍はそのまま受けざる負えないだろう」
「なるほど。うーん、テラの今の航行位置から考えると、再来月、ハボス星の近くに向かうことは可能ではありますね」
「テラでの会議が決まったら、ケネス宇宙軍で万全の警備体制を敷くつもりではいるよ。危ないからね」
「いやいや、うーん」
「それで、今、Qコードの精度をもっと上げて、自動化を急ぐように指示をした」
「それは、先月の最高幹部会の議題に上がっていましたね」
「そうだ。急がないとね」
話が一段落したところで、ネドは執務室で左前腕を触ってテラに転送で戻った。
さて、もうサリトと会う日が近づいていた。
困ったな。何もなければよいが。
サリトとは、ネメス星の宇宙ステーションで会うことにしていた。