副長シリスの声がケネス宇宙艦ギガのコントロールルームに響いた。
「張りました」
士官が応える。
光が少し陰った。
よく見ると、正面大窓の向こうでギーア船が中央に、やや離れて停止している。
そして、その奥に、ケネス宇宙軍大型船ミッドがギーア船の進路を塞ぐように停止しているのが見える。
シュッ
シュッ
ギーア船がケネスの大型船ミッドに攻撃をし始めた。ビームの光の線が光って走る。
ネドはコントロールルームの右手にいるシリス副長に近寄って尋ねた。
「シリス副長、部下たちは、部下たちは救出されたのですか?」
「いや、まだだ。彼らはまだ、ギーア船の中だ。だがもう心配はいらない。われわれケネス宇宙軍が救出する」
その言葉が終わらないうちに、後ろの高速エレベーターのドアがシュッと開いて、続々と重装備をした士官たちが集まり始めた。
シリス副長がネドに脇のイスを勧めた。
ネドの顔色は悪い。
シリスは立って壁面を押すと、脇の壁が開いて、ジャケットと銃が現れた。シリスはすばやく、それを身に着けた。
オープンになっている通信から、最高司令官サライの声が響いた。
「ギーア船のコンピューターへの侵入はどうなっている?」
本部のSEの声が響いた。
「50%の掌握です。今、攻撃はできなくしました。自爆装置も切りました」
大窓から見えていた、ギーア船のミッドへのビーム攻撃がいきなり止んだ。
「サライ最高司令官。ギーア側宇宙基地からの傍受ですが、ギーアの宇宙基地からさかんにギーア船に通信が送られています」
本部の別の士官の声がした。
「わかった。ギーアの宇宙基地の通信の傍受は続けてくれ。変化があったら報告してくれ」
「了解しました」
オープンになっている通信からケネス星最高司令官サライの声が響いた。
「ギーア船の船内図と、人員配置をスクリーンに出してくれ」
「了解。最高司令官」
本部の大型スクリーンにギーア船の船内図と人員配置が浮かび上がった。
同時にケネス宇宙軍全艦の正面スクリーンの一部に、同じ映像が配信された。
このギーア船のコンピューターへの侵入についても、本部のSEだけでなく、当事者であるギガ、足りなければミッドのSEも協力して、作業が行われていく。